モデルチェンジでドラフト指名を目指す社会人の逸材たち かつて最速145キロのプロ注目投手は俊足好打の外野手に
高校時代は1学年上の来田涼斗(現・オリックス)に憧れ、メディアから比較もされてきた。だが、打撃優位型の来田に対して、今の福本は走攻守の総合力で勝負するスタイル。ここにきて、ふたりのプレースタイルは明確に分かれてきた。 「来田さんと同じスタイルにしようとは思っていません。自分なりに光れるポイントはあると思うので」 課題は打撃面だととらえている。「簡単にアウトにならないバッティング」を目指して、福本綺羅はこれからも突き進むつもりだ。 【かつては最速145キロのプロ注目投手】 福本と同じく足で目立ったのは、JR東日本の1番打者・篠田怜汰だ。予選リーグ第2戦のENEOS戦では死球で出塁すると、すかさず盗塁に成功。左投手の阿部雄大からマークされ、ベテラン捕手・柏木秀文の完璧な二塁送球をかいくぐって二塁を陥れた。タイブレークまでもつれた延長11回表には、詰まりながらも決勝打となる適時打を放っている。 試合後、篠田は「あれ(足)しか武器がないので、よかったです」と相好を崩した。 羽黒高から入社して5年目、3月26日に22歳になった若手外野手だが、野手に転向してまだ3年目と日が浅い。それまでは投手としてプロ注目の存在で、高校2年夏の山形大会で最速145キロをマークするなど、甲子園に出場。高校3年春には高校日本代表候補合宿に招集されている。 ところが、合宿での篠田の様子は明らかにおかしかった。球速は130キロ程度で、ボールの勢いもなかった。当時、篠田は右肩に不安を覚えていたという。 「高校2年が終わって肩を痛めて、そこからバランスが取れなくなっていました」 合宿時、同じ東北地方の高校ということもあって、大船渡高の佐々木朗希(現・ロッテ)と行動をともにすることが多かった。そして、篠田は「伝説」を目撃する。 「紅白戦で佐々木が163キロのボールを投げたのは、めちゃくちゃ印象的でした。同じ高校生なのにやばいな、自分も頑張らないとダメだな......と余計に焦ったところもありました」