障害者への性暴力、調査して判明した「おぞましい実態」 加害者の7割は近しい人 「なかったこと」にできるから?
「10回以上」と答えた人が20人もいました。断定はできませんが、親などの家族による性交が多いと推測できます。少なくとも、親を含む家族から被害にあいやすい実情が反映されていると思います。 ―どういうことでしょうか。 障害のある人は、身の回りの世話を監護者である親を含む家族に頼らざるを得ない場合が多いことと関係があります。親であれ、きょうだいであれ、監護者から受ける性暴力は拒否しにくいという構図と、調査の結果は一定程度、一致しました。 ―障害のある人は、なぜ被害を訴えにくいのでしょうか。 今回の調査でも、精神障害と発達障害のある人が「被害妄想と疑われたり『かまってほしい』からうそをついたと言われたりした」、知的障害の人から「伝えるのが苦手なので、誰にも信用してもらえず、そのままにされた」と自由記述で書いています。 こうした声は支援の現場では非常によく聞かれます。しかし事実として残らないケースが多いため、実態が分からないのです。
▽障害者も健常者も同じ ―こうした深刻な被害は、どこに相談すればいいのでしょうか。 全国に設置された「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター」に連絡してください。残念ながら全てのワンストップ支援センターが、24時間365日稼働しているわけではありません。それでも、支援センターには、混乱しショックを受けている人の言葉をきちんと受け止められる専門家がいます。 性被害の相談は、最初がとても大切なんです。しかし、被害者の多くは勇気を出して話そうとしているのに否定されたり、被害者が悪いかのように責められたりします。このような二次被害を受けた被害者は、それ以上声を上げるのを諦めてしまいます。これは障害者も健常者も同じではないでしょうか。 ―なぜ性暴力被害者への二次被害が繰り返されるのでしょうか。 「レイプ神話」に代表されるアンコンシャス・バイアスが根強くはびこっているからだと思います。