【日本って外国のお金も造っているの?】日本の「造幣局」が手掛けてきた外国貨幣とは
私たちが日頃使う貨幣は「独立行政法人 造幣局」で造られています。 造幣局では、日本の貨幣だけではなく、実は外国の貨幣も製造していることを知らない方もいるでしょう。 今回は、日本の造幣局が手掛ける外国貨幣についてご紹介します。
造幣局とは
造幣局は大阪府大阪市北区に本局があり、埼玉県さいたま市と広島県広島市にそれぞれ支局があります。 元は財務省の付属機関でしたが、より質の高いサービスや効率的な業務を行う機関を目指して、平成15年(2003年)からは独立行政法人になりました。 安定した貨幣の供給を目的としており、貨幣の製造を中心に、記念貨幣や勲章、褒章の製造も行っています。
造幣局が製造する外国の貨幣
財務省と造幣局は、外国貨幣の製造受注に力を入れており、10カ国16種類の外国貨幣を製造してきました。 例えば、2007年(平成19年)に1ニュージーランド・ドル記念銀貨幣(7万枚)を製造したのをはじめ、2012年(平成24年)にはバングラデシュの一般流通貨幣の生産を受注、5億枚を製造しました。 造幣局がこれまで製造した外国貨幣の例については、表1の通りです。 表1
※独立行政法人造幣局「造幣局が製造した外国貨幣」をもとに筆者作成 ■外国の貨幣を製造する理由 造幣局が外国の貨幣の製造に取り組んでいる理由は、日本国内の貨幣製造量の減少にあります。電子マネーなどの急速な普及により、貨幣製造枚数は、1974年の56億1000万枚をピークに、右肩下がりとなっています。 消費税が導入された1989年(平成元年)には、1円と5円の製造が増えたことで50億枚を超えました。 しかし、その後は減少していき、2023年(令和5年)の製造枚数は5億8477万枚で、ピーク時の10%程度になりました。 このように製造枚数が減っているなかで、財務省と造幣局は海外に目を向け、国際入札に参加して、各国の貨幣を製造することになったのです。 ■偽造されにくい日本の貨幣 日本の貨幣は、世界の貨幣の中でも偽造されにくいといわれています。 例えば、2021年(令和3年)から発行されている500円貨幣では、微細文字が外周に刻まれているとか、見る角度によって文字が見えたり隠れたりする「潜像加工」や、側面の「異形斜めギザ加工」など、偽造を防止するためのさまざまな工夫がなされています。
日本の高い技術を世界へ
造幣局では、これまでアジア、中東などの10カ国16種類の貨幣を手掛けてきました。 世界中でキャッシュレス化が進むなか、貨幣や紙幣の製造を外国に委託する国は増えることが予想されます。 日本が誇る貨幣製造の技術を生かすチャンスは増えているといえるでしょう。 出典 独立行政法人 造幣局 採用案内 令和5年度版(1~8ページ) 貨幣に関するデータ 造幣局が製造した外国貨幣 年銘別貨幣製造枚数【令和5年銘】 貨幣製造事業 貨幣の偽造防止技術 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部