赤旗中断中のタイヤ交換ルール、見直しませんか? F1ドライバーからも変更望む声。アロンソは議論噴出を予知
F1ドライバーの何人かは、赤旗中断中のタイヤ交換レギュレーションが今年のモナコGPを“台無し”にしたと考えており、その見直しを望む声が挙がっている。 【動画】オープニングラップに衝撃の大クラッシュ発生! ペレスのマシンは見るも無惨な姿に|F1モナコGP モナコGP決勝の1周目では、レッドブルのセルジオ・ペレスとハースのケビン、マグヌッセン、ニコ・ヒュルケンベルグがクラッシュ。その結果赤旗が提示され、レギュレーション通り全ドライバーにタイヤ交換が許可された。 ただ、モナコのオープニングラップで提示された赤旗は思わぬ副作用を生んだ。 赤旗中断となれば、その間にタイヤ交換義務を消化することが可能とされている。モナコは、コース上でオーバーテイクを成功させるのはあまりにも難しく、トラック上のポジションを最優先するのが鉄則。そのためレース中にピットストップを行なってポジションを落とすリスクを排除すべく、スタートでミディアムタイヤを履いたドライバーはハードタイヤに、ハードタイヤからミディアムタイヤへとこの赤旗中断中に履き替えた。 タイヤそしてそのタイヤをチェッカーまでもたすために、各車徹底的にタイヤをマネジメントし、ごく低速で周回を重ねるレース展開となった。 抜きにくいモナコは、ポールポジションからスタートするのが特に有利なコースだが、それでもピットストップや戦略の失敗で勝利を逃すことがある。2016年のダニエル・リカルドや2022年のシャルル・ルクレールがその際たる例だ。裏を返せば、そうした可能性からドラマが生まれたのだ。 ただ今年のモナコGPについては、1周目の赤旗によって戦略的な駆け引きができなかったと嘆くドライバーが多かった。 「赤旗の後、僕らの戦略は台無しになった。みんながフリーストップ(トラックポジションを失うことなくタイヤ交換すること)をしてかなりセーブして走ることになったから、僕らは最後までミディアムを履く必要があった」 6️位に終わったレッドブルのマックス・フェルスタッペンはそう語った。 「僕はただジョージ(ラッセル/メルセデス)についていくだけで、タイヤをマネジメントするためにかなりペースを落としていた。ストレートは文字通りアクセル半分で走っていたし、かなりつまらなかった」 4位となったマクラーレンのランド・ノリスも、フェルスタッペンの意見に同意した。 「できることは何にもなかった。特に序盤の赤旗のせいで、戦略やタイヤマネジメントで僕に訪れたかもしれないチャンスが台無しになった。だから少し残念だ」 ミディアムタイヤでスタートしたため、赤旗後のレースをハードタイヤで走りきったウイリアムズのアレクサンダー・アルボンも、現在のレギュレーションがあまり意味のないことだと認めた。 「何が起こっているのかを解明する必要がある。1周目で赤旗が出ても、ピットストップを義務付けるとかすればいいと思う。フェアな立場から言うと、僕らに有利に働いたし、あまり文句は言えないね……」 2021年サウジアラビアGPでノリスは、レースがアクシデントで赤旗中断になる直前、セーフティカー出動中にピットイン。その結果、ノリスは6番手から14番手へと後退し、割りを食ったことで「史上最悪のルールだ」と非難していたこともあった。 アストンマーティンのフェルナンド・アロンソは、過去にこのレギュレーションについて議論が行なわれたものの、そこから何の成果も得られなかったことから、モナコGPの決勝によって、この問題が再び議題に上がると予想していた。 「モナコのレースで面白いのは、義務のピットストップだけだ」とアロンソは語っていた。 「ピットストップのワクワクを取り除けば、何もなくなってしまう」 「赤旗が出た時にタイヤを交換しないとか、同じタイヤを履かなければならないとか、そういう話がまた出てくるかもしれない。ではければ、妥協を強いられるレースになる可能性があるからね」 motorsport.comがアロンソに対して、このレギュレーションが見直されることを期待しているかと尋ねると次のように答えた。 「わからないよ。彼らが変更してこなかったことは沢山ある。おそらく、ドライバーの意見に耳を傾けていないんだろうね」
Filip Cleeren