急増するシェアサイクルの「意外な使い方」…移動格差が広がる社会に必要な「モビリティーの未来」
最近、都心で姿を見かける機会の増えたシェアサイクル。電動キックボードの「LUUP」が目立つが、これらは安全上の問題なども含め、良くも悪くも注目を集めている。 【マンガ】3500万の住宅ローン組んだ「年収700万夫婦」が地獄を見たワケ シェアサイクルというと、多くの人がこのLUUPを思い浮かべるが、実は、現在のシェアサイクル界は、LUUP一強では全くなく、むしろ「シェアサイクル三国志」といえる状況になっていると、早くから業界に参入した「HELLO CYCLING」代表取締役である工藤智彰氏は言う。 LUUPがポート(バイク置き場のこと)を都心中心に展開し、それを、同じく都心にあるマスコミが熱心に報道したことが大きい。 前編『シェアサイクルは「LUUPが覇権を握っている」わけではない…東京とマスコミが発生させた「勘違い」』で紹介したように、LUUPが展開した地域が都心だったこと、そしてマスコミが同じく都心に集まっていることが相まって、「シェアサイクルと言えばLUUP」と言うイメージがついた。 また、工藤が強調するのは、いくら「三国志」だといっても、それは単なる「顧客の奪い合い」ではなく、業界全体が広がりを見せているということだった。
シェアサイクルの活用法が広がった
工藤は、シェアサイクルの盛り上がりにともなって、人々が、シェアサイクルをさまざまな使い方で使いこなすようになったことも指摘する。HELLO CYCLINGの利用者データを見てみると、その利用者は、キックボードとは異なる使い方をする人も多く見受けられるという。 「例えば、茨城県の土浦にはいくつかのレンタルスポットがあるのですが、すごい人だとそこから霞ヶ浦を一周したりしています。水戸まで行っちゃう人もいますし(笑)」 キックボードに比べると、長距離移動が楽な分、その使い方も多様なようだ。 「それから、なぜか、朝3~4時あたりに、港の先の方に一台だけシェアサイクルが止まっていたことがあって、なんでだろうと思って考えたら、釣り人だったんです。公共交通機関が動く前なので、HELLO CYCLINGのサービスを使っている」。 釣り人ともなれば、荷物も多いだろう、キックボードでは移動が大変になるから、シェア自転車を使っているのかもしれない。 「また、興味深いのはギグワーカーの人々です。この前、UberEatsを頼んだら、HELLO CYCLINGに乗ってきたことがあったので、話を聞いたんです。彼らの中には郊外の街に住んでいる人も多くて、Uberで働くときにはシェアサイクルを使って、そしてその後帰る、という人もいるようです。それから、他の人にも話を聞いてみると、タイミーなどのスキマバイトをうまく使って、働く場所までシェアサイクルで行って、ということもあり、シェアリングエコノミーを組み合わせて働いている人も多いようです」。 LUUPが広げた「電動キックボード」が、シェアサイクル全体の認知度を上げ、結果的にさまざまなシェアサイクルの活用法を広げているのだ。