「元球児の父を甲子園に」 センバツ開会式司会の中原陽花さん
阪神甲子園球場で18日に開幕する第95回記念選抜高校野球大会(毎日新聞社など主催)の開会式で、出場校の全選手が4大会ぶりに入場行進する。司会の一人で福岡県立福岡高を今春卒業した中原陽花(はるか)さん(18)は、2022年7月、「放送部の甲子園」と呼ばれる第69回NHK杯全国高校放送コンテストのアナウンス部門で優勝。夢だった甲子園の司会者に選ばれた。 【開会式リハーサル 行進の練習をする選手たち】 センバツ開会式の司会には前年のNHK杯全国高校放送コンテスト優勝者が選ばれることが多く、中原さんは「NHK杯優勝も目標だったけど、甲子園での司会も中学生の頃からの夢だった。かなってうれしい」と目を輝かせた。 一番に喜んでくれたのは、元球児で自身も甲子園出場を目指していた父英史さん(49)。「司会という形だけど、父を甲子園に連れて行けてうれしい。父も私が甲子園での司会を夢見ていることを知っていたので、何度も『おめでとう』と言ってくれました」 中原さんは22年の全国高校放送コンテストで、その年の2月、ロシアのウクライナ侵攻直前まで家族と首都キーウ(キエフ)で暮らし、帰国後、SNS(ネット交流サービス)で平和を願うメッセージを発信した田代明衣さん(17)=福岡市=に取材して書いた原稿を読んだ。 「田代さんは(日本で)戦争のない時代を生きる私たちだからこそ現実に起こっていることと向き合い、事実を知ってほしいと話してくれた」。同世代の思いをくみ、考えに考えて書いた原稿だからこそ読む声に気持ちがこもった。都道府県大会を含め全国約3000人の頂点に輝いた。 春からは立教大文学部で英語を学ぶ。高校生活最後の大舞台を前に「甲子園にはいろんな高校生の夢が詰まっている。私も思いきり楽しみたい」と張り切る。【竹林静】