開幕5カードを終えたプロ野球の想定外と想定内は何?
プロ野球のセ、パ、それぞれが開幕5カードを終えて一周り目の対戦を終えた。セではヤクルトが首位、V4を狙う広島が最下位という異常なスタートとなり、パでは楽天が好調で、首位にいるソフトバンクの主力に故障者が続出するという今後の展開に波乱を呼びそうな序盤戦となった。セ、パ共に下位2チームだけが借金を抱えるという似た状況。開幕から14、15試合の想定内、想定外を振り返ってみた。 セの想定外はV4を狙う広島の大不振だろう。開幕から5カード連続の負け越しは球団初の屈辱でチーム打率.212、得点45は、リーグ最下位。首位のヤクルトが85得点だから、およそ半分しか得点力がないことになる。“丸ロス”の影響が出ているだけでなく、先発防御率も4.69と悪く、リーグ屈指の守備力も崩壊。延長10回に12得点を奪われた10日のヤクルト戦では、名手、菊池が2つのエラーを記録するなど鉄壁のセンターラインまでが崩れて19失策もリーグワーストである。 ヤクルトの旋風も想定外なのかもしれない。昨年2位に入った強力打線は評価されていたが、課題だった投手陣が一変した。先発陣に高梨、寺原が加わって厚みを増し、何より素晴らしいのが中継ぎ陣。救援防御率の1.99は群を抜く。“出戻り移籍”の五十嵐は6試合に登板して失点がなく、すでに2勝。新外国人のマクガフ、2年目の左腕ハフに安定感があり、開幕時点では調子が上がっていなかった守護神の石山も3セーブを挙げるなど、想定外に投打のバランスが整っている。 与田新監督を迎えた中日の勝率5割キープの健闘も想定外だ。開幕スタメンから2年前の新人王、京田を外し、強肩が売りの加藤にマスクを被らせるなど“タブーなき采配”で6年間Bクラスに低迷していたチーム内に競争意識を植え付けた。発奮した京田は13日の阪神戦で「人生初」の満塁本塁打を含む5打点で勝利に貢献。投手交代のタイミングや、戦術、代打など「監督経験のない与田は、ここまでやる人だったのか」と思わせるほどの勝負手を打つ。11盗塁はリーグトップで、代打成功率も.323を誇る。「反省はするが後悔はしない。采配に関しては、明日、未来だけを見ている」という芯のある哲学で、京田が「監督さんがいつも声がかれるくらい大きな声を出してくれている」というほど、チームカラーも明るくなった。 救援防御率が4.66と、中継ぎで失敗はしているが、今のところ戦力以上の結果を出して13日には、1046日ぶりとなる貯金も作った。