「ママ、これなに?」年金月25万円の元大学教授・享年75父の遺品整理で思い出した“実家の謎の地下階段”…恐る恐る降りた先に広がる〈まさかの光景〉。腰を抜かしてそそくさ帰宅した理由【FPが解説】
あれ、これだけなの?
49日の法要も無事に終えたあと、Aさんは相続財産の調査に入りました。相続人はAさんだけだったことと遺言書もなかったことで、相続トラブルなどはありませんでした。しかしひとつ気がかりが。相続財産が思ったよりも少ないのです。田舎とはいえ祖父から引き継いだ土地や有価証券などがあったはずですが、父はいつの間にかすべてを売却しており、複数の銀行口座にわたる金融資産は合計で3,000万円ほどになっていました。父の年金額は月額約25万円。私生活に度を越してお金がかかっているイメージもなかったため、もう少し残っていてもよさそうです。 Aさんにはほかに父親の住んでいた実家と死亡保険金2,000万円の受け取りがあり、相続税の申告が必要です。5,000万円という現金は、相続税の納付のほかに毎日の生活に頭を痛めるAさんにとって非常に救いですが、土地や有価証券の売却後のお金のゆくえが気になります。売却してくれていたことで、不動産や有価証券などの相続の面倒な手続きはなくなりましたが、心にはモヤモヤが残ります。
父が持っていた大量の本を調査
Aさんの父親は大変真面目な人で、ギャンブルなどには興味がなく、母親が亡くなったあとも女性の影はありませんでした。定年退職後は、本に囲まれた書斎で、いつも一人で読書をしている印象しかない物静かな人柄でした。そんな父親を思い出しながらAさんはあることに気づきます。 父親は大量の古書を含む文学書を抱えており、財産価値が高いものもあるかもしれない、と思ったのです。絶版本や初版本などは高額のものもあるといいます。「土地や有価証券を売却したお金の一部が高額な文学書に化けたのかもしれない……。そうなると、すべての書籍に対してもきちんとした財産の評価が必要になるな」と思ったAさんは、実家の父の書斎へと向かいました。 父親の書斎は玄関横の階段を数段上がった所にあり、天井まで作られた本棚は父の愛した文学書で埋め尽くされていました。久しぶりに入った書斎はやはり本の数が増えているようにも感じました。無造作に床に置かれた段ボールの中にも本が詰め込まれており、中を検めた際、ふと床下に小さな収納部屋があることをAさんは思い出します。 「そういえば子どものころにかくれんぼでここに隠れて出られなくなっちゃって、ものすごく怒られたことがあるわ。この部屋なに?と母に聞いたような……。あれ、結局あそこの部屋はなんだったんだっけ?」収納部屋の中にも本があるかもしれないと、調べてみることに。薄暗い地下へ続く階段はなんだか不気味です。恐る恐る収納部屋に降りていくと、「うわあ」とAさんは思わず声を漏らしました。 やはり本は山積み、複数の段ボールもありました。あまり掃除されていなかったのか、天井には蜘蛛の巣、埃も溜まっています。段ボールを一つひとつ開封していくと、本や教授時代の資料が入っていましたが、ただ1つの段ボールには違ったものが詰め込まれていました。
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