中国不動産の世茂巡り清算申し立て-中国国有銀が香港裁判所に
(ブルームバーグ): デフォルト(債務不履行)に陥っていた中国の不動産開発大手、世茂集団は8日、国有銀行の一角である中国建設銀行が香港の裁判所に対し、同社を巡る清算を申し立てたと発表した。国有銀が資金繰り難の不動産開発企業から債権を回収しようとするこれまでで最も顕著な例の一つとなる。
世茂は上場先の香港取引所への届け出で、債権者の中国建設銀行(アジア)が5日に香港で申し立てたと説明。関連する金融債務は約16億香港ドル(約310億円)。世茂は今回の清算申し立てに断固反対するとともに、利害関係者にとって価値の最大化につながるオフショア債の再編に向けて今後も取り組むとした。
債権者側が債務を巡る協議進展の遅さにいら立ちを募らせ、碧桂園など不動産開発企業に対する清算申し立ても増えている。中国建設銀行(アジア)も規模が小さめの他の開発企業の清算を探ってきた。中国恒大集団に対しては香港高等法院(高裁)が清算命令を出しており、これが債権者を後押ししている面もある。
かつて投資適格企業だった世茂は、2022年7月にオフショア債でデフォルトに陥ったが、最初の再編計画が示されたのはそれから1年5カ月後のことだった。同社のドル建て債は大半が額面1ドルに対し3セント前後の気配となっており、資金の回収見込みはほとんどないと投資家が考えていることを示している。
香港司法機構のウェブサイトによると、今回の申し立てを巡る審理は6月26日に予定されている。
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原題:Chinese State Bank Asks Court to Liquidate Developer Shimao (1)(抜粋)
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Lorretta Chen