石田ゆり子が癒やし系美女から妖艶な女性への変貌を見事に表現!渡部篤郎、尾野真千子と共演した「外事警察」
清楚な美貌と癒やし系の声、そしてナチュラルな存在感で幅広い年代から支持を得ている石田ゆり子。そんな彼女が、複雑な過去を持つ"魔性の女性"を熱演したのが、2009年に放送されたドラマ「外事警察」だ。 【写真を見る】「外事警察」で共演した渡部篤郎と石田ゆり子 スパイ活動を容易くできることから「スパイ天国」といわれている日本で、対国際テロ秘匿捜査の精鋭部隊として活動する「外事警察」。刑事志望の巡査長・松沢陽菜(尾野真千子)は、外事警察の中でも「ウラ」と呼ばれ、表舞台には決して姿を見せない秘匿部隊・外事4課での研修を突然命じられる。主任の住本健司(渡部篤郎)が松沢の指導係となるが、住本の強引な捜査方法や厳しい物言いに松沢は嫌悪感を覚える。 時を同じくして、「フィッシュ」と呼ばれる国際テロリストが日本に潜入しているというCIAからの極秘情報が外事4課に入ってくる。住本をはじめとする4課の面々は、怪しい動きをする外交官・ラモンを巧妙に追い詰め、情報を引き出そうとするも、雑踏の中で何者かによってラモンが薬殺されてしまう。そんな中、松沢は、ラモンが通っていた外国人バーの店長・ジュリオが好意を抱いている女性が、所轄時代に担当した交通事故を機に知り合った下村愛子(石田)だと気づく...。 麻生幾による警察小説を原案とした、全6話の社会派エンターテインメントドラマ。そんな本作で石田が演じているのは、物語の鍵を握る女性・愛子だ。3年前、夫が運転する車に乗っていた時に事故に遭遇し、現在は植物状態となってしまった夫・誠一(二階堂智)の介護を献身的に行いながら、夫の長年の夢を叶えようと開店した理容店を1人で守っている、健気な女性だ。 第1話の終盤から登場する石田は、素顔と見まがうばかりのナチュラルメイクとシンプルでカジュアルなファッション、そして控えめな演技で愛子の人柄を表現。愛子は警察と国際テロリストの攻防に意図せず巻き込まれたか弱き一般人だ、という印象を視聴者に強く残す。 ジュリオが持つ情報を引き出すためには愛子が重要な存在だと確信した住本は、偽名を名乗り、松沢と共に愛子のもとを訪れる。そして毎月支払う一定の金額と引き換えに、捜査への協力を依頼する。突然の申し出に戸惑い、信頼していた松沢に嘘をつかれていたことを咎める愛子に、住本は3年前の事故の原因が愛子の不倫だと突きつけた上で、夫の介護が彼女の自己満足だと断言する。その言葉にカッとなった愛子は「帰れ!」と住本を怒鳴りつける。落ち着いた癒やし系の雰囲気を纏う美女だった愛子が、本性とも呼べる激しさを一気に放出するこのシーンで、石田は感情を爆発させ、鋭い声で愛子の怒りを表現する。それまでの穏やかな演技からは想像できない迫力が生むギャップによって、石田は愛子という人物をより魅力的な存在へと作り上げていくのだ。 その後、住本に協力することになる愛子。初のスパイ行為に緊張の表情を浮かべたかと思えば、スリリングな体験を重ねていく中で、タフで妖艶な美女へと変貌していくさまも見せる。そんな彼女の変化に合わせ、黒や深紅のワンピースへと、衣装も大胆かつタフさを感じさせるものとなり、それらを堂々と着こなす石田の美しさは輝きを増していくばかりだ。 同じ時を過ごしていく中で生まれる愛子と住本の絆など、国際テロリストを巡る息もつかせぬサスペンスと同時に、濃密な人間の愛憎も交錯するサスペンスドラマ。松沢を演じる尾野真千子、住本役の渡部篤郎といった超実力派俳優陣との演技合戦を通して、石田ゆり子という俳優の魅力を再確認できる一作だ。 文=中村実香
HOMINIS