相続額の中央値1600万円 「老後資金を使いきれない」日本人のリアルな老後
【STEP4】今後見込める収入を見積もる 次に、入ってくるお金を見積もります。今後の主な収入として見込めるのは、「勤労収入」「退職金」「年金」です。 勤労収入は「現在の年収×リタイアまでの年数」で計算します。実際は役職や働き方の変化によって収入も上下しますが、そこまで見通すのは難しいので、現在の収入で計算して構いません。 退職金の額は会社の人事部に問い合わせるなどして把握し、公的年金の受給額は「ねんきん定期便」で確認します。
【STEP5】年間収支と金融資産残高を確認する ステップ2~4で算出した数字をエクセルの表に落とし込み、毎年の年間収支や資産残高の推移を表すキャッシュフロー表(図3)を作成します。「65歳になったときのお金の状況はどうなっているか」といった時系列で確認ができるので、足りないお金を準備する場合も、より詳細な対応策を計画できます。
* 以上が基本的な「お金の計画」の立て方です。 なお、定年後のお金の過不足を確認する計算式は、「収入見込み額の合計(ステップ4)」+「現在の金融資産(ステップ2)」-「支出見込み額の合計(ステップ3)」となります(図4)。 結果がプラスなら老後資金は足りる計算になるので、「お金をいかに使い切るか」を考えましょう。結果がマイナスなら老後資金が不足するので、足りない分を準備する必要があります。 不足分を補う手段として王道なのは「働く期間を延長する」「繰り下げ受給などで年金額を増やす」「支出を抑える」「資産運用で増やす」の4つです。 よってこれらの合わせ技でお金を増やしていくことになりますが、人生を充実させるためにも、健康なうちはなるべく長く働き続けることを検討してほしいと思います。社会との関わりがあれば、自分の居場所ややりがいを見つけて、毎日イキイキと元気に過ごせるからです。 今の勤務先に再雇用される以外に、他の会社で嘱託や契約社員として働いたり、フリーランスになる選択肢もあります。特に中小企業や小規模事業者は人手不足が深刻なため、リタイア世代が持つ経験やスキルを求める会社が少なくありません。 将来の仕事を確保する方法としてお勧めなのが、現役時代から地元の商工会等が主催する勉強会やセミナーに参加し、地域の企業関係者と人脈を作っておくこと。それがきっかけで「定年退職したらうちの会社を手伝ってほしい」と声をかけられるケースもあります。 人生計画とお金の計画を立てていれば、定年後の働き方についても早い段階から準備できます。ぜひ皆さんもリタイアメントプランを作成して、今後の人生を充実させてください。
米田貴虎(一般社団法人 日本定年力検定協会理事),栗本大介(一般社団法人 日本定年力検定協会代表理事)