妊娠中に荷物持ちとして呼びつける義母。母親の肩ばかり持つ夫。不当な扱いに耐えかねた嫁は反撃に出る！【書評】
結婚生活において、義家族との関係は問題になりやすい。特に、息子を自分のものだと思い込み、嫁のことを自分の息子を奪った泥棒かのように感じてしまう義母がいるとドロ沼関係に陥りやすいだろう。『美魔女の義母がつらく当たるので破滅させました』（貴野友莉恵：原案、柏屋コッコ：漫画/KADOKAWA）は、そんな義母と嫁のドロドロをリアルに描いた作品だ。 【漫画】本編を読む
大手広告代理店で働く主人公・神崎真奈美は、社内恋愛で夫の拓哉と結婚した産休中の主婦。愛する夫の子どもを妊娠して幸せいっぱいの毎日だったはずが、気づいたときには若々しく美しい義母・紀子からいびられてしまっていた。妊娠6カ月を迎えお腹も膨らんでいたある日、真奈美は義母の押しに負け、その買い物に付き合うことに。 妊婦に重たい物を持たせるのはご法度だというのに、義母は自分が購入した商品をわざと真奈美に持たせていく。荷物持ちの負担がたたり倒れてしまった真奈美を足蹴にする義母。妊婦に対して平気で暴力を振るう最悪な義母の言動に加えて、実は夫が重度のマザコンだったことも発覚して、真奈美の新婚生活は地獄へと変わっていく。
さらに出産後、義母は女の子を産んだ真奈美より、男の子を産んだ実子の実菜子をひいきしていた。孫の扱いにもあからさまな差をつけ、食事にも嫌がらせをするのだ。 あまりにも下衆な義母の言動にいらだちを感じてしまうが、真奈美は一方的にやられているだけではない。娘を守るために、義母のいびりに立ち向かっていくのだ。そんな嫌がらせへの反撃にスカッとできることも本作の魅力のひとつといえる。
しかし、そんな真奈美の反撃も虚しく、マザコンの夫は妻子を蔑ろにして義母のことだけを大切にするようになっていく。たとえマザコンでも、妻子の味方になってくれるのであれば良かったものの、残念ながら拓哉は世界中の誰より自分の母親が大好きで、どんなことがあっても義母の味方になってしまうのだが…。 娘が希望する習い事をはじめることを一度はOKしたにも関わらず、義母が反対した途端意見を翻し反対する夫。どんなに理不尽なことでも義母のいいなりになる夫の姿に、真奈美は絶望していく。本作では真奈美の気持ちがとてもリアルに描かれているので、思わず感情移入してしまうだろう。そして、昔は優しかったはずの夫は義母のせいで悪い方向に大きく変わっていき、家族は崩壊していくことになり― ―。
ここからの真奈美と拓哉の関係はもちろん、義母とのバトルからも目が離せない。真奈美や娘の百花が酷い目に遭うたびに、義母や夫たちが不幸になる呪いをかけたくなるだろう。こんなにも義家族と夫に苦しめられているのだから、真奈美には誰よりも幸せになってほしいと思う。 この先に待っているとんでもないどんでん返しにより義母が破滅するので、心からスカッとするためにもぜひ最後まで見届けてもらいたい。 文＝ネゴト/ 押入れの人
