製造現場に寄り添うDXで人手不足に対応・従業員定着率向上へ カミナシ従業員
カミナシ(東京都千代田区、 諸岡裕人・代表取締役CEO)は、既存の衛生管理報告業務(HACCP対応)ツール「カミナシレポート」をベースに、<設備保全><社員教育><社員管理><社員間連絡業務(多言語対応)>など、食品製造現場などで不可欠な業務と統合して運用できるクラウドサービスを開始する。 27日には第一弾として、社内業務連絡やコミュニケーションを多言語対応で一元管理できる「カミナシ従業員」を発表した。
「カミナシ」の導入実績は15000現場超
国内製造業就業者数は2002年(平成14年)1202万人が2022年(令和4年)には1044万人と13%減少しており(「ものづくり白書」)、問題解決のためのDX化推進は喫緊の課題となっている。 ベースとなる「カミナシレポート(旧名カミナシ)」は、これまで紙ベースで行われていたHACCP対応など食品製造現場での衛生管理に関わる報告業務を、モバイルアプリを活用することで完結させたもの。 ノンデスクワーカー向け現場DXを実現するツールとして認知されており、2020年6月にリリース以降、導入実績は食品業界をはじめ36業界15000現場を超えている(今年度実績)。 「現場経験のない者には理解できない“不便さ”を、いかにして利用者に使い易くしながらDXを最適化するか。それが当社の企業姿勢の柱であり方向性だ」と述べる諸岡代表の家業は、空港施設向けの惣菜製造業を営んでいた。こうした知見をもとに、開発に至るまで製造現場の情報や問題点を徹底的に洗い出し、ユーザビリティーに基づいた製品作りに取り組んだ。社員の訪問回数は、延べ年間3000回を超える徹底した“現場第一主義”によって生み出された同社製品は導入企業から高く評価されている。
「カミナシ従業員」をリリース
今回発表した「カミナシ従業員」は、製造現場での業務連絡として挙げられる課題に対応したもの。製造現場の多くでは、従業員が専用メールアドレスを持たないケースも多く、電話や口頭による連絡になりがち。またシフト制が主体の現場では、管理責任者は1つの連絡事項を1日に数回数日間にわたり現場内で直接伝えなければならない。 また、外国人就労者を抱える現場では、複数言語を介したコミュニケーションが必要だ。ベトナム、インドネシアなど母国語が違う従業員を同時に雇用しているケースでは、出身国によって使用するSNSが異なるため、管理責任者は複数のSNSを使いこなさなければならない。また、翻訳ツールを使ってのコミュニケーションプロセスは極めて煩雑な作業だ。 「カミナシ従業員」はこれらの問題を解決策として具現化した。従業員への業務連絡はモバイル画面で通知され、発信者は閲覧履歴を確認でき、必要に応じ特定の従業員にメッセージを送ることもできる。外国人従業員にはメッセ―ジを自動翻訳(14言語対応-2024年8月時点)して送受信できる仕組み。従業員は指定されたページにログインすることでこれらのツールをいつでも利用可能だ。 自動翻訳は現段階では100%でないものの、翻訳ミスを減らすため、投稿された文語体の文章などを再構築する機能も内蔵されており、多言語間のコミュニケーション能力を向上させている。 同社では既存の「カミナシレポート」ユーザーから導入を働きかける予定。 同社では、年内に「カミナシ教育管理」(従業員への作業・業務の教育支援ツール)、「カミナシ設備保全」(現場利用の器機の運用管理・メンテナンスを従業員に指示できるツール)などのサービスも順次リリースしていく予定だ。