明後日開幕ラグビーW杯展望!日本は悲願の8強入りを果たせるのか?
確かに今度の日本代表も、例えばロシア代表やサモア代表に足元をすくわれれば外野の求める「スコットランド代表との最終戦を制して決勝トーナメント進出へ」といった筋書きも帳消しとなる。 ジェイミー・ジョセフヘッドコーチ体制は2016年秋に始動。今回の乗組員は、指揮官が信頼関係の結べる選手やスタッフのみと見られる。リーダー格の選手たちが事細かに話し合い、混とん状態から点を取るスタイルをブラッシュアップしてきた。 リーチとともに3大会連続出場の堀江翔太は、こう決意する。 「先の試合を見据えることはスタッフがしてくれると思うし、選手はそんなことしなくていい。4年間やってきたことを、どれだけ1戦、1戦に出せるかです」 では、日本代表が一戦必勝を貫くには何が求められるのだろうか。まずは、直近のゲームで出た収穫と課題のリチェックだろう。 今年7月下旬からのパシフィック・ネーションズカップでは、相手国との調整力の差を示すなどして3戦全勝。本番直前の現状把握のために組んだ南アフリカ代表戦(9月6日/埼玉・熊谷ラグビー場)は7‐41で落としたが、陣営は「いい課題が出た」と前向きだ。 本番の全ての試合で重要視されるセットプレーでは、世界最高クラスの南アフリカ代表とも何度か互角に渡り合った。長谷川慎スクラムコーチが唱える8人一体型のスクラムシステムは、度重なる微修正で熟練の域。巨漢選手のモールを崩す手法も、直近の反復練習で練ってきた。 以後は相手との身長差を踏まえたうえで自軍ラインアウトを確保できれば、チャンスロスを最小化できる。各ゲームを担当するレフリーの分析、相手キックを捕球する陣形の再確認、圧力のかかった自軍の接点へのサポート方法などと並行し、急ピッチで磨き上げたい。 それらを踏まえたうえで、まずは初戦での通常運転を実現させたい。
対するロシア代表はパワープレーを好む。今年8月17日はイタリア代表に15―85で敗れたが、昨秋には若手主体で臨んだ日本代表へ嫌なイメージを植え付けた。結局は27―32で敗れたが、日本代表が主力を投入するまでリードを奪っていた。今度もキックで自陣に押し込まれてじりじりぶつかられると、後手を踏みかねない。 当日は、スタンドオフとなった田村優らが相手の嫌がるスペースへテンポよくボールを散らしたい。 元日本代表コーチングコーディネーターの沢木敬介氏は「(田村が力を発揮するのは)余裕を持っている時」。 周囲のテンポ良い球出しや素早いポジショニングで、田村への相手のマークを拡散。かくして変幻自在のプレー選択を促したい。 なお田村の試合運びは、4試合を通じて日本代表の浮沈の鍵を握りそう。一方、相手の司令塔の動きも気になるのは次なるアイルランド代表戦だ。ナンバーエイトのCJスタンダー、センターのバンディー・アキら縦に強い戦士を、スタンドオフのジョナサン・セクストンが操る。横殴りのプレッシャーをかけるスクラムや下仕事の丁寧なモールも特徴的だ。 2018年に欧州王者にもなったアイルランド代表は、今年の8月24日こそ大会優勝候補で世界ランク3位のイングランド代表に15―57と大敗も、続く31日には今夏に一時世界ランク1位となったウェールズ代表(現在5位)に22―17で勝利。9月7日の同カードも19-10で制した。 ここで逃れられないのは、負けたイングランド代表戦にはセクストンが出ていない事実だ。セクストンは、自ら突破力がありながら防御の死角へのパスやキックでも際立つ。快適にプレーさせれば、孤立した小柄な選手のところへ高いキックを蹴られたり、鋭い防御網の背後へゴロキックを転がされたりと、主導権を渡しかねない。 そもそも日本代表は、チームが発展途上だった2017年6月にセクストンら主力を欠いたアイルランド代表に自国で2連敗している。セットプレーの直後の攻防や競技力の前提となる1対1で苦しんでいた。今度ジャイアントキリングを起こすには、当時からの伸び率を実証しつつセクストンを無力化させるほかない。