機能性とサステナビリティを両立した ポーラテック“新”パワーシールド.
機能性とサステナビリティを両立した ポーラテック“新”パワーシールド.
エコ・エンジニアリングのスローガンのもと、持続可能なモノづくりを推進するポーラテックは植物由来の防水透湿メンブレンを開発し、「パワーシールド」を一新。 この新素材の発表に合わせて、PEAKS×ポーラテックのコラボレーションが実現した。 編集◉PEAKS編集部 文◉伊藤俊明 写真◉熊原美惠(製品)、宇佐美博之(インタビュー)。
メンブレンを一新。生まれ変わったポーラテックのパワーシールド
ポーラテックのパワーシールドが生まれ変わった。メンブレンを一新してハードシェルにも対応できるスペックへと大幅に向上した。名前こそ同じだが、まるで別物。今後に注目したい防水透湿メンブレンの新たな選択肢だ。 すでに定評ある素材を改良したのは、サステナビリティを高めるため。新しいメンブレンは48%が植物由来のナイロンでできている。バイオベースのこのナイロンは「バイオロン」と名付けられた。ポーラテックのすべての事業を統括する責任者のエリック・ユンさんはこう説明する。 「私たちは機能と同じようにサステナビリティを重要視しています。旧来のPUメンブレンは機能的には優れていましたが、環境にとってプラスになることはありませんでした。新しいバイオロンはトウゴマからできているのでリソースの上限を意識する必要がありません。さらに通常の66ナイロンと比較して、製造時のCO2排出量を半分に減らすことができました。それでいて、ポーラテックでは初めて2万ミリという耐水圧を実現しています」。
開発アドバイザーに中島健郎さんを迎えた「KENRO P.S. ANORAK」
注目の新素材をいち早く採用したのは、小誌が立ち上げた「マウンテンギアラボラトリー」だ。製品第一弾はケンロウPSアノラック。PEAKS前編集長の朝比奈耕太がプロデュースした。 「防水透湿性もそうですが、しなやかでストレッチ性が高いところに注目しました。めざしたのは、天気が崩れなければ一着で行動できるミドルレイヤーとアウターの中間のようなウエアです」。 開発のアドバイザーにクライマーの中島健郎さんを迎えた。 「ジャージみたいに動きやすいものが欲しいって話したんです。希望どおりのものになりました」。 防水の生地だが、着心地が硬くなるのを避けるために縫い目のシーム処理はしていない。タイトだが動きやすく、完全防水ではないがそれなりのプロテクション性も備えるウエア。言葉にするとわかりにくいが、中島さんは好印象をもったようだ。 「薄手ですが風を防いでくれるので意外と保温力があるなと思いました。雨は、ちょっとパラつく程度ならまったく問題なしです。まだトレッキングレベルで歩いただけですが、マルチピッチのクライミングなんかで使ってみたいですね」。 これまでのPUメンブレンは多孔膜で通気性をもっていたが、バイオロンで作る新しいメンブレンは無孔膜となる。この違いについて、エスシーティージャパンの藤田さんが補足してくれた。 「新しいメンブレンは無孔膜になったので通気ではなく透湿です。透湿値は2万ミリで、通気しないのでヌケる感じは少ないかもしれませんが、逆に保温性は感じられると思います。もうひとつメリットがあって、ストレッチしますがポリウレタンは使っていないので劣化もしにくいはずです」。 欧米ではすでに、この新しいパワーシールドを使ったハードシェルの開発も始まっているらしい。