「似すぎてやばい!」ミュージシャンの伝記映画ランキング第10位。古きイギリスが最高…唯一無二の男を描くのは?
これまで数多く制作されてきたロックミュージシャンの伝記映画の中から、【物語の奥深さ】、音楽がもたらす【高揚感】、モデルとなった人物や時代背景の【再現度】に着目して10本の作品をチョイス。波乱万丈の人生模様と迫力満点の音楽に酔いしれる、“一粒で二度おいしい”音楽映画を厳選してご紹介する。
10位:イングランド・イズ・マイン モリッシー,はじまりの物語(2017)
製作国:イギリス 原題:ENGLAND IS MINE 監督:マーク・ギル 脚本:マーク・ギル 出演:ジャック・ロウデン、ジェシカ・ブラウン・フィンドレイ、ジョディ・カマー 【物語の奥深さ】★★☆ 【高揚感】★☆ 【再現度】★★ ●あらすじ 1980年代を代表するイギリスのロックバンド「ザ・スミス」のボーカル・モリッシーの若かりし日々を描いた青春映画。 マーガレット・サッチャー政権が成立した1976年のイギリス。高校をドロップアウトしたモリッシー(ジャック・ロウデン)は、ライブハウスで目撃した「セックス・ピストルズ」のパフォーマンスに心を動かされ、ミュージシャンを目指して、仲間集めや曲作りに奔走する。 ●作品解説 モリッシーは1959年生まれ、イングランド・マンチェスター出身のシンガーソングライター・詩人。ユーモアと皮肉に満ちた詩世界と哀愁のある歌声は唯一無二の魅力を誇り、2022年現在でも現役のシンガーとして活躍している。 舞台となった1970年代後半は、マーガレット・サッチャーが主導した経済政策によって、格差が急激に広がった時期にあたる。 1980年代に入ると格差はさらに深刻化。貧困にあえぐ若者たちが熱烈に支持したのが、ザ・スミスの奏でる音楽であった。 本作は、人一倍ナイーブな感性を持つ青年モリッシーの成長物語をセンチメンタルなタッチで描くと同時に、当時のイギリスの鬱屈した空気感が見事に再現されている。 若き日のモリッシーに衝撃を与えた、伝説のパンクバンド、セックス・ピストルズのライブを再現したシーンは臨場感があり、当時のイギリス音楽シーンを知る上でも恰好の作品だと言えるだろう。 一方、本作が描くのはバンドが結成される前の日々であるため、ザ・スミスの音楽はほとんど使用されていない。「ザ・スミスの楽曲に浸りたい」といった方は、肩透かしをくらう可能性があるので、あらかじめご留意を。
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