「〝すてき〟と想像してしまったら、そこに追いつくしかない」 柴咲コウ「蛇の道」
フランス語への挑戦 楽しそう
フランス語は話せなかったが、フランス語での演技は障害ではなく、むしろ魅力。「フランス語を話す、フランスに行ける、楽しそうと思ったのも役を受けた理由でした。憧れの都市で、長い期間滞在したい場所だった。大きな挑戦だけれど、脚本の力もあったし、フランス語で、フランス人俳優とやりとりができたらすてきだなと想像してしまった。そしたら、その想像に追いつくしかない。引き受けないわけにはいかないっていう感じ」 数年前にNHK大河ドラマに出演した時「3行だけのフランス語のセリフに苦労した」というが、今回は黒沢作品らしく、長回しのワンカットも多いからセリフも長い。フランス語を読むことから入り、発音の微調整を3カ月ほど集中特訓して臨んだ。「千本ノックみたいに、日本人にとって難しい発音を何遍も練習しました」 また海外でやってみたい?と聞いたら「思います、思います」と即答。「お芝居は自分というフィルターを通して体現、表現するもの。自分自身は変わっていなくても、新鮮に思っていることで、また違うお芝居の風味が出るかなと、演じながら感じていました。 日々、そこはかとなくアドレナリンが出てるみたいな。 なかなかないんですよ」
ずっと新鮮 あっという間の25年
2023年に、デビュー25周年。スカウトされ高校時代に、思いがけず芸能界に飛び込んだ。「きっかけは本当に偶然みたい。望んで始まったわけではないにしろ、好奇心とか欲求の増幅の仕方がものすごく大きくて、しかもそれが絶えず起こっている。私の性格に合っていたんでしょうね」。テレビ、映画に途切れず出演。「いろんな現場を渡り歩いて、仲良くなったと思ったら、2カ月でお別れして新たな現場に行く。一期一会の生活で、飽きることがない。役柄の人物を通して成り代わって、ずっと新鮮でいられる。25年はあっという間だったとしか言いようがないですね」 歌手としての活動も、20年を超えた。こちらも興味があるかどうかを聞かれて「まあ好きだけど」と返事をしてから。「もうちょっと鍛えれば」とレッスンしたが、3カ月でリタイア。「ダンスとか集団行動に向いてないんでやめますと」。それでもその後、機会に恵まれてCDデビュー。「それも本当に偶然で、良かったなと思います」