マエケン移籍を最後に失効するポスティングシステムはどうなる?
広島の前田健太(27)がポスティングシステムを利用してドジャース移籍を果たしたことで、2000万ドル(約24億円)の入札金が、広島に対してドジャースから支払われる。だが、2013年12月17日からNPBとMLBとの間で、3年契約で結ばれた新ポスティングシステムの効力は、2016年の10月31日までで、実質今回のマエケンの移籍で新ポスティングシステムの運用は終了することになる。 正確には、日米のどちらかが改正を求める場合は、失効の180日前に相手側に、その意向を知らせる必要があり、もし日米のどちらからも申し入れがない場合は、1年ごとの自動更新になるのだが、日米関係者や米国メディアの話を総合すると、MLB側が改正を求めてくるのは必至だと見られている。 MLB側が改正を要求すると推測されるのが、入札金の撤廃、もしくは、現在、2000万ドル(約24億円)に設定されている入札金の上限をさらに低くすること。もし、入札金の撤廃を要求されるとなるとNPB側からの強い抵抗が考えられる。 ポスティングシステム導入の契機となった伊良部秀輝のメジャー移籍問題の際、ロッテのGMだった広岡達朗氏も、「おそらくメジャー側は、入札金の撤廃を申し出てくるだろう。今回、広島の前田がインセンティブ重視の契約を結んだが、ほとんどと言っていいほど、日本からいくピッチャーは故障をしてしまうのだから、上限24億円という入札額は、ナンセンスだと考えているだろう。野手に関しても日本人は基礎体力がなく、もう通用しないというレッテルを貼られてしまっている。なおさら撤廃論が強くなる」という見方をしている。 そもそもポスティングシステムのスタートは、1998年に結ばれた「日米間選手契約に関する協定」だ。その後、松坂大輔、ダルビッシュ有の入札額が、続けて50億円を超える高額となったことをMLB側が問題視。資金のない球団に不利になることや、逆に日本側も獲得意思のない球団の“偽装入札”の抜け道などを指摘し、改正の協議がスタート。1位入札球団と、2位入団球団の間の額を取るなどの改正案が提案されたが、最終的に2000万ドル(約24億円)を上限に日本の球団が入札金額を定め、その額を入札した球団が自由に交渉できるという現行制度で落ち着いた。だが、その協定の実質の効力も3年間だけ。契約年数が短くなった背景については、ドタバタの中で決めてしまったMLB側が強く主張したと言われている。