いまや不倫男役が話題だが…10年前に監督が目撃していた39歳俳優の“たのもしい姿”「共闘できると思った」
『ホームレス中学生』当時の小池徹平
――小池徹平さんが日本アカデミー賞新人賞を受賞した『ホームレス中学生』冒頭場面でも木漏れ日が印象的でした。主人公が校門前で会話していると頭上に木漏れ日が差す。そうかと思えば、さぁっと雲間に隠れて、木漏れ日が差さなくなる。木漏れ日の変化で小池さんの魅力を引き出していたかのかなと思いましたが。 古厩:よく気づきましたね。あの場面の演出について初めて指摘されました。びっくりです(笑)。あの木漏れ日、実際には木が立ってなくて、スタッフが葉っぱだけで木漏れ日を作っています。 ――木漏れ日の場面が象徴するように爽やかな青春の瞬間にきらめていた小池さんが、今や『離婚しない男-サレ夫と悪嫁の騙し愛-』(テレビ朝日)で不倫ドラマに活路を見出しているという(笑)。 古厩:ドラマはまだ見ていないんですが、かなり強烈な演技だと方々から聞いています。 ――『ホームレス中学生』での小池徹平さん(当時22歳)はどうでしたか? 古厩:2005年にウエンツ瑛士さんとの「WaT」でメジャーデビューし、ソロデビューも果たした直後の作品でした。俳優としてもどうやって地盤を固めていくかというタイミングだったと思います。 演じた役柄は中学生。けれど、小池くん自身はもう少年ではありませんでした。小池徹平くんにはめちゃめちゃハードなミッションでした。何をやったって「麒麟の田村とちゃうやんけ。しかも中坊ちゃうし」と言われてしまう何重苦というか……。 徹平くんに何て言おうかと思ったんですが、無理すんのやめよう、田村さんぽくとか、中坊っぽくとかやめて、ただ素直にやろうと言いました。すると徹平くんも「僕もそれでやろうと思ってます」と言いました。追い詰められた2人というか(笑)。あのとき共闘できると思えました。
まるで“古厩マルチバース”!?
――『ロボコン』で部長役の伊藤淳史さんが、『離婚しない男』では小池さんにえげつないほど苦しめられる。作品の垣根を越えた、まるで“古厩マルチバース”だなという感じがしていて……。 古厩:(笑)。そう思いながら作品間を横断して見ていたら、楽しいですよね。 ――奥平さんの俳優デビュー作『MOTHER マザー』(2020年)が長澤まさみさん主演映画です。長澤さんは『ロボコン』で映画初主演。こうして監督のフィルモグラフィーから時を経て出演俳優たちが共振するかのような巡り合わせを感じることはありますか? 古厩:はい、嬉しいことです。それで思い出しました。もともとブロードウェイのミュージカルだった『キンキーブーツ』。あの作品には驚きました。『ホームレス中学生』と同じ年に公開された『奈緒子』の主演の三浦春馬くんが主演、相手役が小池くんで、すごく面白かったです。 ――まさにマルチバース共演ですね。 古厩:単なる偶然の重なりですが、今後の監督作でも是非、マルチバース共演を探してみてください(笑)。 <取材・文/加賀谷健 撮影/山川修一> 【加賀谷健】 音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu
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