「ほぼ勝ったと、全員思ったんじゃないですか」石川祐希が語るパリ五輪イタリア戦の真相「最後、俺が決めきれなかったから…」《独占告白》
チャレンジ判定の間、どんな会話が?
――あの場面はブロックの指先を狙ったけれど、わずかに逸れてしまった? 「そうですね。あそこは指先に当たらなかったとしても、コートに入るような軌道で打たなければいけなかった。打つのであれば。逆に、あまり体勢もよくなかったので、リバウンドを取りにいく、ラリーを少し長く続けるという手段もあった。そういった柔らかい発想が、あの場面では欠けていました。1点を取りにいこうとしすぎて、視野が狭かったのかなと」 ――あの24-23になった場面、ブロックタッチの判定を巡り日本はチャレンジを要求しましたが、判定を待っている間、コート内ではどんな会話があったんですか? 「あまり覚えてないんですけど、俺(取りに)行くわ、とはたぶん言ったと思います。で、2本目のサーブもど真ん中にきた。僕も行けそうで、トモ君も行けそうで。ちょうど迷うところだった。僕のほうに軌道は来ていたんですが、ジャンネッリのサーブは巻いて打つから、最後にこっち(山本寄り)に曲がるので、『あー! 微妙ー! 』と思って逃してしまった。本来ならたぶん僕のボールなんですけど、僕が、スパイクで1点を取りにいきたいという思いが強すぎて、よけるような形になってしまった。そこは隙というか、『早く試合を終わらせよう』と思ってしまったのかなと」 第3セットを奪われ、第4、5セットも接戦となるが、日本はデュースの場面でブロックに捕まるなど“あと1点”が遠い。 最後はルッソがネット上から押し込んだボールが日本コートに落ちて弾んだ。第5セット15-17。石川の目に涙が溢れた。いつも通り円陣を組むと「俺についてきてくれてありがとう。最後、俺が決めきれなかったから、本当に悪かった」と頭を下げた。 <前編から続く>
(「NumberPREMIER Ex」米虫紀子 = 文)
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