ノーベル平和賞・被団協代表委員 箕牧さんインタビュー「米一粒が平和につながる」
農家にも活動に協力してほしい
被団協の3人の代表委員のうち、ひとりが私。郡部にいる被爆者はほとんどが農家と思う。農家にも被団協や核兵器の廃絶という信念に向かい、被団協の活動に協力してほしいとお願いしたい。 被爆者の人数が減っている。みな高齢になり、亡くなったり施設に入ったりという人が大半だ。とても寂しい。高齢化で被団協としての力は衰えているのが現実だ。ノーベル平和賞を受賞する前は、被団協で行動しても報道するテレビや新聞も少なくなっていた。しかし受賞後は、報道機関の取材が殺到していて本当に疲れるという本音も感じている。被爆者は年をとるが、平和に終わりはない。息長く、報道することを報道機関の皆さんにもっと考えてほしい。そして、平和への訴求は今の世でますます重要になることをもっと世の中の人々に知ってほしい。 イスラエル組織とハマスの戦闘が続くガザやロシアのウクライナ侵攻など、世界中で子どもたちが犠牲になっている。血と涙を流している。日本は無関心でいてはならない。 ノーベル平和賞はゴールではない。ここからが、核廃絶、平和に向かってのスタートだ。その意味は被爆者にとってだけではなく、社会全体にとってのスタートになることを願う。
みまき・ともゆき 1942年3月、東京都板橋区生まれ。北広島町で米やソバなどを栽培する。45年3月に東京大空襲に遭い、45年5月に父の故郷である広島に疎開。鋳物工場などで働き、57歳から14年間町議などを務めた。被爆者としての活動は2005年から積極的に始めた。21年に広島県被団協理事長、22年に日本被団協代表委員に就任した。日本被団協の代表委員3人のうちの1人。
日本農業新聞