『レオ』の惨劇はなぜ起きた? 「ウルトラ」シリーズ史上最大の大虐殺劇から半世紀
「ウルトラ」シリーズ最大の虐殺劇が起きてしまったワケ
本日1月10日は、『ウルトラマンレオ』第40話「恐怖の円盤生物シリーズ! MAC全滅! 円盤は生物だった!」が1975年に放送された日です。今年で放送から50年となりました。「ウルトラ」シリーズ最大のトラウマ回という声もある、このエピソードはいかにして生まれたのでしょうか。 【コイツです!】確かに「円盤生物」 こちらがみんなのトラウマ「シルバーブルーメ」です 当初の『レオ』は、未熟だった「ウルトラマンレオ」が先輩にあたる「ウルトラセブン」から指導を受け、それにより得た技で宇宙人や怪獣と戦うという方向性で始まります。そのため、セブンこと「モロボシ・ダン」から特訓される、レオこと「おゝとり(おおとり)ゲン」の生身の姿が毎回、観られました。 しかしこのハードな展開は、視聴率の低下からソフト路線へと変更を余儀なくされます。前作『ウルトラマンタロウ』との落差が原因だったと考えたスタッフは、少しずつ明るくコメディタッチな作風へと切り替えました。これにより、第17話から第21話の「見よ! ウルトラ怪奇シリーズ」や、第26話から第32話の「日本名作民話シリーズ!」といったテイストのエピソードが生まれています。 ところが視聴率とは別の問題が作品に陰を落とすこととなりました。それがオイルショックによる物価の高騰です。 こういった諸問題から『レオ』は3クール全39話で打ち切りというところまで視野に入りました。そして一説によると、この打ち切り問題の回避に大きな影響を与えたのが「腸捻転」だといわれています。 1975年春には、在阪局である朝日放送と毎日放送のネットチェンジ、いわゆる「腸捻転解消」が控えていたため、1月から新番組を開始するのは視聴者を混乱させるという意見がありました。このため『レオ』は打ち切りを免れたという証言があります。 もっとも視聴率の問題はともかく、物価の高騰が制作費を圧迫しました。このことは『レオ』の第4クールに大きな影響を与えます。それが「MAC(宇宙パトロール隊)」や「城南スポーツセンター」の面々といったレギュラー陣の退場劇でした。出演者を減らすことでギャラの節約をはかったわけです。 つまりウルトラシリーズ最大の殺戮劇には、制作費の節減というとんでもない事情が裏にあったのでした。そして、第40話から最終回までの「恐怖の円盤生物シリーズ!」に登場する「円盤生物」もまた、制作費節減というあだ花から生まれた存在だったのです。