応援を力に金メダルへ意欲 パリパラ日本代表、ボッチャ内田選手が会見【宇部】
パリパラリンピックのボッチャ日本代表に内定している宇部市出身で大阪体育大4年の内田峻介選手(21)が23日、東京都北区の味の素ナショナルトレーニングセンターで会見を行った。紆余(うよ)曲折を経て、ようやくたどり着いた夢舞台を約2カ月後に控え、晴れやかな表情で臨み、金メダル獲得への意欲を示した。 内田選手は、日本選手権のBC4(非脳原性疾患で重度四肢機能障害)クラスで3連覇中。2022年にブラジルで開かれた世界選手権の同クラスで初出場、初優勝を果たし、パリパラリンピックのメダル有力候補と目されていた。 しかし、昨年12月に香港で行われたアジア・オセアニア選手権のクラス分け審査で、障害の最小基準を満たしていないと「出場資格なし(NE)」の判定を受け、事態は一転。NE判定は2回下されると確定し、以後の大会出場が不可能になるため、今年3月のポルトガルでの代表選考会出場を見送った。パラリンピックに向け、不退転の覚悟で挑んだ4月のワールドカップ(カナダ・モントリオール)で判定が覆り、閉ざされかけたパリへの道が再び開いた。 会見には、内田選手と日本ボッチャ協会の曽根裕二強化本部長、片岡正教クラス分け委員長が出席。片岡委員長が出場資格判定の経緯を説明した。 内田選手はNE判定後について「今後何を目標に生きていけばいいのか、苦しい時期が続いた」と振り返った。そういった中、大学の先輩、友人らのサポートで前向きに練習に励むようになり、日本選手権での3連覇を達成できたという。
会見後の公開練習では、ジャックボール(目標球)に近い相手ボールにぶつけて引き離す「ロビング」を披露。強化スタッフとのミニゲームでは笑みもこぼれ、本大会に向けた順調な調整ぶりをうかがわせた。 同大准教授で内田選手の指導者でもある曽根本部長は「周囲を巻き込み、彼らのサポートを自身の力に変えられることが成長した要因の一つ」と評価。内田選手は「地元の人たちの声は自分にも届いており心強い。本番では市民はもちろん、応援してくれるすべての人たちへの感謝を込めて、金メダルが取れるよう最大限の努力をしたい」と意気込みを述べた。 内田選手は神原小、山口南総合支援学校中・高等部卒。中学2年時から本格的にボッチャに取り組み、17年に国を挙げた有望選手の発掘事業「ジャパン・ライジング・スター・プロジェクト」1期生に選ばれた。