いま新卒採用で「集団面接」「グループディスカッション」が再び重視されるようになったワケ
---------- 新型コロナウイルスの感染拡大により、オンライン中心となっていた就職活動。しかし最近では、集団面接やGD(グループディスカッション)が完全復活しているという。著書に『面接官が本音で教える集団面接・GD(グループディスカッション)完全対策マニュアル』があるキャリアカウンセラーの中谷充宏氏が、なぜ企業が集団面接やGDを重視するのか、その理由と背景を解説する。 ---------- 【写真】就活生もその親も必読!「一流ホワイト企業ランキング」TOP100
アフターコロナの採用はどう変化した?
コロナ禍の影響が全世界に重く圧しかかっていたのは、誰もが知るところでしょう。 もちろん就活生も例外ではなく、コロナ禍中に放映された「ガクチカって?」と首をかしげる某テレビCMは、サークルや部活などがままならない自粛生活を送ってきた学生の現実を赤裸々に物語っています。 しかし、コロナ禍も収束に向かい、自制自粛が解かれた今は、以前のようなリアルな採用選考に戻りつつあります。 1オン1といった個別面接ならばともかく、就活生の相互の関係性や関わり方を見る選考方法、たとえば集団面接やGD(グループディスカッション)は、オンラインには適さないと言えます。 もちろん、実際にオンラインでこれらを実施する企業もありましたが、各人のネット環境による不具合、たとえば参加者の一部がネットに繋がらなくなって話に入っていけないとか、同時に話し始めたりして声が被ってしまうとか、進行がスムーズにいかないケースも散見されました。 企業の採用担当者も就活生も、こうした採用選考の内容とは違うところでうまく進まないため、非常に苦労されたと思います。 統計的に見ても、コロナ前は7割前後の就活生がグループディスカッションを経験していましたが、コロナ禍真っ只中で就活を経験した世代では、4割弱から5割強程度と激減していました。
企業は学生を「相対評価」で見極めたい
一方、日経平均株価がバブル全盛期を超えるなど業績堅調な企業が増え、労働人口の減少も伴って、新卒採用を増やす企業が増加傾向にあります。 とはいえ、新卒だったら誰でも良いわけではありませんから、就活生の母数をできるだけたくさん集めて選考していくという傾向は今も昔も変わらないと言えます。 人やモノの優劣を決めるには、やはり一か所に集めて比べるのが手っ取り早い方法です。 そもそも新卒採用を実施している企業での仕事は、絶対に一人では完結しません。チーム・組織の中で周りと関わりながら仕事をすることになります。 1オン1での「絶対的な評価」よりも、集団における「関係性」、「関わり方」を見て、誰が優れていて誰が劣っているのか、という「相対的な評価」をしたいのは自明の理というわけです。 コロナ禍の間は、これをやりたくてもできなかったのですが、今は違います。 以前と同じ「相対的な評価」を用いる選考手法に戻したい企業が増えてきているのです。