阪神大震災伝える絵本「ぼくのたんじょうび」 219人が描いた原画
阪神大震災当日の1995年1月17日、家族の愛情に包まれて神戸市で生まれた男性の実話を基にした絵本「ぼくのたんじょうび」が完成し、14日、原画を描いた子どもたちに初披露された。表紙は、激しい揺れと同時に両親が身を投げ出して胎児を守ろうとしたシーン。表紙の原画を描いた神戸市立西郷小5年、藤倉侑大さん(11)は「みんなで協力して一冊になってうれしい。世界の人に地震の怖さを知ってもらいたい」と話した。 絵本は震災発生から主人公・中村翼さん(29)=兵庫県尼崎市=が誕生するまでの約12時間を描いた。中村さんの大学時代の恩師、神戸学院大社会防災学科の舩木伸江教授(防災教育)が制作を発案し、中村さんと文を考えた。元同大客員教授で絵画教室「アトリエ太陽の子」(神戸市東灘区)主宰、中嶋洋子さんに挿絵を依頼。教室の子どもたち219人がそれぞれイメージして描いた絵を切り貼りし、10枚の挿絵に仕上げた。費用はクラウドファンディングで募った。 絵本を手にした絵画教室の子どもたちは「すごくきれい」などと歓声を上げ、1ページずつ目を凝らしながら読み上げていた。舩木さんは「中村さんが生まれてきたことを皆が祝福してくれ、絵本という形になってうれしい」と話し、中嶋さんは「命を尊ぶ思いが次世代の子どもたちへも受け継がれていきますように」と願った。 絵本はA4変型判、全面カラー32ページ、1400円。神戸市内の小中学校などをはじめ、東日本、能登などの被災地にも贈られる予定だ。問い合わせはアトリエ太陽の子(078・858・7301)。【関谷徳】