仮想空間で松本知ろう 中高生も参加 制作佳境に 長野県松本市
インターネット上の3次元の仮想空間(メタバース)で長野県松本市の魅力を発信する官民連携のプロジェクトが進められている。利用者が分身(アバター)を操作して、仮想空間内の松本の街を散策し、買い物をしたり、アバター同士で交流したりできるサービスの実証実験中だ。空間の構築には市内の学生らも協力し、若者ならではの柔軟な発想を生かしている。 プロジェクト名は「ばーちゃるまつもと」。産官学連携組織「デジタルシティ松本推進機構」(機構長・宮之本伸副市長)の会員になっている日立システムズ(東京都)など3社が昨年度に始めた。 メタバースに、中心街の六九商店街や井上百貨店などを再現する。市民や観光客などをアバターとして呼び込み、特産品の販売や、コワーキングスペースでの交流、酒蔵見学の疑似体験ツアーなどを提供する考えだ。 6日には、プロジェクト関係者が中間報告を兼ねて交流会を市内で開き、中高生や大学生ら約40人が集まった。プログラミングが趣味の菅野中学校2年生は、仮想空間内のキャラクターの3D化を担当。「まばたきや手ぶりなどいろいろな動きができるようにしたい」と話した。 百貨店フロアのレイアウトを仲間と構築している松本工業高校電子工業科3年生は「学んだ技術を生かせるけれど、緊張する。世界中の人を引き込む空間ができるように全員で頑張りたい」と話した。 昨年度に市民ワークショップなどを行う中で、クリエーターの技能を持つ多くの学生と知り会ったという。10月には一定の成果をまとめ、来年度は市民主体のビジネス展開を見据えた準備を進める方針。日立システムズの担当者は「こんなに若者が参加するとは思わなかった。最先端の技術に触れて楽しいだろうと思う。今後も関わり続けてほしい」と期待していた。
市民タイムス