「あの寮生活は嫌だけど、もう一度甲子園で戦いたい」初戦を迎える明徳義塾にレジェンドOBが熱烈エール!
2014年夏の甲子園では、初戦からビッグカードが実現した。明徳義塾vs.智辯学園。 明徳義塾には現在西武で活躍する岸 潤一郎がエースとして君臨し、智辯学園の主砲は巨人の岡本 和真(巨人)だった。 試合は10対4で明徳義塾に軍配が上がったが、この試合で岸を好リードし、打撃でも2安打2打点の活躍を残したのが、明徳義塾の捕手・水野 克哉だった。 【トーナメント表】夏の甲子園 大会5日目までの結果一覧 水野はその後、中部大を経て、現在は社会人野球の伏木海陸運送のキャプテンとして攻守ともにチームをけん引している。先月、東京ドームで行われた都市対抗野球大会は3年ぶりに出場を果たした。 「高校野球と社会人野球は、どちらも負けたら終わりの大会なので戦う楽しみがあります。(伏木海陸運送の)田中監督も、(明徳義塾の)馬淵さんも、守備を大切に指導されていて、『守備が崩れたら試合も崩れる』という考え方を持っていらっしゃいます。自分は今はキャッチャーではなく、ファーストを守っていますが、守備から流れを作っていきたいと思っています」 そんな水野の中で、今でも覚えている馬淵監督の教えがある。 「馬淵さんがよく話していたのが、『棚からぼた餅』です。『いつまでも棚から遠いところにいたら、落ちてきた餅は拾えない。しんどくても努力して、どんな時でもあきらめないことで、自分に返ってくる』という教えです。社会人でプレーしている今でも生きています。『俺はもう試合に出られないや』とあきらめるのではなく、耐えて耐えて、練習をすることでチャンスがつかめると思っています」 水野が在籍した高校3年間、明徳義塾は毎年甲子園に出場した。夏3回、春1回。うち、水野が高校1年時は甲子園ベスト4(第94回大会)、2年時は甲子園ベスト8(第95回大会)まで勝ち上がった。 「あの寮生活をもう一度やるのは嫌ですけど(笑)、甲子園はもう一度戦いたいですね。明徳義塾での3年間は、野球を根本から学んだ中身の濃い時間でした。これから初戦を迎える後輩たちには、ミスを恐れず、自分たちのやってきたことを信じて、楽しんでプレーしてもらいたいですね」と笑顔をのぞかせた。 キャプテン水野が率いる伏木海陸運送は、今月8日から開幕したJABA長野大会ブロック予選初戦でも、強豪・東京ガス戦で逆転勝ちを収めるなど今、勢いに乗っている。日程が順当に進めば、母校・明徳義塾の初戦日は、JABA長野大会決勝トーナメントの日でもある。水野らしさを発揮して、白星を重ねていきたい。 (取材・文/安田未由)