中部電力が次期黒字予想、本当にできるの?
中部電力(本店・名古屋市)は28日、2013年度(2014年3月期)の連結決算で653億円の純損失を計上したと発表。浜岡原発(静岡県御前崎市)が政府の要請で稼働停止した2011年以降、3年連続の赤字決算となったことを明らかにしました。一方で14年度(15年3月期)は黒字に転換する強気な見通しも。浜岡の再稼働も不透明な中、本当に黒字を達成できるのでしょうか。
燃料費かさむも、電力販売は堅調
赤字の主な要因は燃料価格の上昇。浜岡停止後、LNGなど火力発電用の燃料費はかさみ続け、円安も加わり個別収支では前年度に比べ1192億円増の1兆3141億円に上りました。 一方、売上高は連結で2兆8421億円に達し、個別とともに4年連続の増収です。節電の定着はありますが、機械生産など産業用の販売電力量は増えているのです。景気の回復基調と、産業の集積地である中部地域の底堅さを表しているといえるでしょう。 14年度も当然、増収は見込んでいます。そして損失の拡大については、電気料金の値上げで一気に改善するつもりです。 「現行の料金水準維持」を掲げてきた中電も昨年10月、ついに料金値上げを国に申請しました。賃金引き下げを含む経営効率化も限界で、電力の安定供給のために値上げはやむなしという判断です。 当初は14年度からの3年間で年平均1633億円分の経営効率化を進め、なお収入が不足する年平均1627億円分を、現行料金から平均4.95%引き上げて補いたいと申請していました。しかし、東電や関電に比べ経営に余力があると見られる中電には、専門家や市民から、さらなるコストカットなどの経営努力を求める厳しい声が寄せられました。 経産省はこうした声を受けて、効率化をさらに徹底するよう修正を指示。中電はこれを反映して、年平均1915億円の効率化で収入不足額を1345億円まで圧縮する申請を出し直し、4月18日に平均3.77%の料金値上げが認められました。 一般家庭の値上げは5月1日から、企業向けの自由化部門ではすでに4月1日から平均7.21%の値上げに見直されています。いずれも消費増税と重なって、消費者の立場からすると痛いタイミングです。