ヘッジファンド 対円でのユーロ売りに転じる-日銀利上げを期待
(ブルームバーグ): フランスの政府不信任投票を控えて通貨オプションのトレーダーは対円でユーロをショートしている。
米証券保管振替機構(DTCC)におけるユーロ・円オプション取引は最近急増。11月初め以来、取引量が30億ドル(約4500億円)を超えたのは3営業日だけだが、そのうち2日は先週だった。
ユーロ・円の期間3カ月の予想変動率は8月以来の高水準付近で推移している。
ノムラ・シンガポールのシニアFXスポットトレーダー、グラハム・スモールショー氏は「ここ数日の取引では、特にマクロ投資家を中心に、ユーロ・円のショートがドル・円のショートに取って代わった」と述べた。
マクロヘッジファンドは、政治や経済の出来事によって引き起こされる市場の大幅な変動から利益を得る。日本銀行が今月、0.25ポイントの利上げを実施するという市場の観測が強まる中、マクロヘッジファンドは円がさらに上昇すると見込んでいる。
植田和男日銀総裁による先週のタカ派的な発言は、円の魅力をさらに高めるのに一役買った。 一方、ユーロ圏の経済指標の低迷により、ユーロ売りはすでに投資家が好む取引となっている。 4日に実施されるフランスの不信任投票によって内閣が倒れることへの不安が、ユーロ売りのさらなる理由になっている。
マクロファンドが構築してるのは短期的なショートポジションだけではない。
「米大統領就任式とフランスでのトラブルの可能性、ユーロ圏に対する根強い悲観的なセンチメント」を捉える短期および中期のオプションが活発に取引されているとスモールショー氏は述べた。
ユーロ・円の下落を見込むオプションの需要を見込んでいるのはノムラだけではない。JPモルガン・チェースも、来月に予定されているトランプ次期米大統領の就任式を前に、投資家の好みに変化が見られると指摘。
「マクロファンドはこれまで、主にドル安・円高のポジションを取ってきたが、米国の政権交代によりドルに不透明感が増したことで、他の通貨、特にユーロに対して円を買う傾向が強まっている」と、シンガポールを拠点にセールスマーケティング責任者を務めるニラジ・アサブレ氏が述べた。