「ぼくのお日さま」ジャパンプレミアの様子。左から若葉竜也、池松壮亮、越山敬達、中西希亜良、奥山大史。

映画「ぼくのお日さま」のジャパンプレミアが本日8月19日に東京・テアトル新宿で開催され、キャストの越山敬達、中西希亜良、池松壮亮、若葉竜也、監督の奥山大史が出席した。 【写真】フリップトークで回答がかぶった池松壮亮と若葉竜也 雪の降る街を舞台にした同作は、吃音を持つホッケー少年タクヤ、フィギュアスケートを学ぶ少女さくら、さくらのコーチである元フィギュアスケート選手・荒川という3人の視点から物語が紡がれる。越山がタクヤ、中西がさくら、池松が荒川、若葉が荒川の恋人・五十嵐を演じた。 撮影当時13歳だった越山は15歳に、11歳だった中西は13歳になった。それぞれ身長が10cm以上、5cmほど伸びたそう。池松はそれを聞きながら「でもあまり変わってなくてうれしいですね」「オーディションを勝ち上がってきた子は普通すごくハツラツとしているんですが、2人はのんびりとしていて……すごく好きですね」とにっこり。共演シーンはなかったという若葉も「身長が伸びたとはいえ、映画で見た素敵な佇まいが今もあるので、これからどんどん活躍していくんだろうなと」と応援の言葉を掛ける。 今作で越山は映画初主演を務め、中西は初演技に挑戦した。池松は「越山くんと中西さんは宝石のような輝きをこの映画に残してくれた。本当に才能がある2人です。控えめですし、このまままっすぐ大人になって、僕のような俳優にはならないでほしいですね（笑）」とジョークを飛ばしながらたたえる。越山が「今回の映画で池松さんから“楽しんで仕事をする”ということを学ばせていただきました」と話すと、池松は「彼は本当にマイペースなんですよ。朝が苦手で、雪の中でも、靴を履き忘れて裸足で降りてくるんです。カンヌ（国際映画祭の上映時）でもやりましたよ。すごい才能を持った方だなと思っています」とエピソードを明かす。一方、越山は「朝寝坊して脳みそが回っていなくて（笑）。何も考えずに外に出たら靴下も履いていなくて。そんなこともありましたね」と笑顔で回想した。 子供の頃にフィギュアスケートを7年弱やっており、自身で氷上を滑りながらカメラを回した奥山。「（フィギュアスケートを題材にした作品を）いつか撮りたいとは思っていたのですが、思い出を映像にするだけでは映画にならないので、どうしようかと。そうしたら別の作品で池松さんと出会い、ハンバート ハンバートさんの楽曲『ぼくのお日さま』にも出会って。今までフィギュアをしっかり扱った作品は、ドキュメンタリーを除くと倉本聰さんの『時計 Adieu l'Hiver』くらいですかね。なんでかなと考えると、氷の上に立っているだけでも難しいので、俳優の（演技の）吹替が効かないということがあるのかなと」と分析する。そして「スケート経験者の2人（越山・中西）と、真剣に練習を重ねてくださった池松さんがいたからこそできたんだと思っています」と感謝を述べた。 スケート未経験だった池松は、6カ月の練習を振り返って「俳優をやっていると役によっていろんなことに挑戦する機会がありますが、今までとは比べ物にならないくらい難しかったです。氷の上に立ったことがなかったので、最初の3カ月は2、3秒も立っていられなくて」と苦笑い。ノービスクラスでアイスダンスの試合に出ていた中西が「池松さんはもともとスケートをやられていたのかと思っていたので、経験がなかったと聞いてびっくりしました。6カ月ではあそこまでできないはずなのに、すごく上手で。こういうコーチっているなあと思わされました」とベタ褒めすると、4歳でスケートを始めたという越山も「練習も見させていただいたことがありますが、撮影のときにはうまくなっていてすごかったです。スケートは大人になってから始めると難しいので」とうなずく。そんな2人に池松は「いろんなことを（2人から）教わりました。俳優としての姿勢から何から」と謙虚な姿勢を見せて、会場に温かい笑いを起こした。 後半には「あなたにとってのお日さまはなんですか？」というお題に答えるフリップトークも展開。越山は「仲間です。一緒に活動やレッスンをしている仲間、友達。そういう人たちがいないと僕は成り立たない。今度一緒にこの作品を観に行こうと誘われました」と答え、中西は「友達です。家族に言えないことも友達には全部言っていて、友達がいなかったら悲しい。家族も友達も、みんなが私の新しい経験をポジティブに支えてくれていて大事な人たちです」と思いを伝えた。池松と若葉は「お客様」と回答がかぶる。池松が「大人として120点の答えを出しにいったんですが」と冗談めかして言うと、若葉は「こういうもの（フリップトーク）があまり得意ではないのでどうしようかと思っていたら、池松さんが完璧なことを書いてらっしゃったので……カンニングしました」と暴露して会場は笑いに包まれた。なお奥山は「撮影した日々」と答えた。 最後に越山は「この映画が、皆さんの心にいつまでも温かく残り続けてくれたらいいなと思います。公開されたらぜひまた観に来てくださるとうれしいです」と語り、奥山は「個人的には冬に観てもらえるといい映画だなと思っているので、冬までこの映画が劇場で掛かっていたら、僕たちにとってすごく幸せなことです」と観客へ拡散の協力を呼びかけた。 「ぼくのお日さま」は9月6日から8日までテアトル新宿、TOHOシネマズ シャンテで先行上映が行われ、9月13日より全国公開される。特別写真展が、8月31日から9月18日まで東京・新宿 北村写真機店「ベースメントギャラリー」にて開催。 (c)2024「ぼくのお日さま」製作委員会／COMME DES CINÉMAS