愛知・西尾の菜種油が話題に「食べること」の疑問に迫る
数々の健康法や食品ブームが流行しては忘れ去られていく昨今、良質な油を控えめに摂ることも、健康の常識になりつつある。そんな中、愛知県西尾市の小さな工房が、江戸時代から伝わる伝統的な製法で作る「ほうろく菜種油」が話題となっている。食の専門誌『料理通信』の「世界に自慢したい9品」に選ばれ、全国の食の専門家や料理ファンらにもその名を広めた。この菜種油の販売元、自然食品の販売会社「りんねしゃ」(愛知県津島市)が食のデザイン会社「オイシイワークス」(名古屋市中区)とタッグを組み、「食べること」の疑問に迫るイベントをスタートした。良い油と悪い油の違いとは何なのか?
油の構成要素、必須脂肪酸の役割とは?
現在大ブームのココナッツオイルを筆頭に、オメガ3が多く含まれるとされるえごま油、亜麻仁油、インカインチオイルは、品切れ、輸入荷待ちの店が続出中。油と健康のバランスを考えるうえで、メディア等でも頻繁に取り上げられている、オメガ3、6、9と呼ばれる栄養成分とはどんなものなのか。 これらは、油の構成因子となる「脂肪酸」の種類を指す。そもそも「油」は、三大栄養素(糖質・脂質・タンパク質)のひとつで、人間が生きるために必要なエネルギーを作るうえで欠かせないもの。ただ、摂りすぎれば生活習慣病や肥満の原因に。さらにその摂取方法に注目が集まっているのは、老化に繋がる体の酸化を早めるのも、アンチ・エイジングのための抗酸化力を高めるのも、どんな脂質を取り入れるかに大きく左右されるからだ。 中でも意識して摂取すべき脂肪酸としてよく取り上げられるのが「オメガ3」。青魚の成分であるEPA、DHAが知られるが、血液中のLDLコレステロールや中性脂肪を減らし、HDL(善玉)コレステロール値を上昇させる、つまり抗酸化作用をもつとされる。 「オメガ3はオメガ6とともに必須脂肪酸。人間の細胞膜を構成する栄養素なので、必ず食品から補給しなくてはなりません。ただし、油自体が皆さんの体の酸化を防いだり、健康回復するということはありえないのです」 イベントのコーディネーターであり、司会も務める「りんねしゃ」二代目の飯尾裕光さんは、自然食品の販売に携わって約30年の食品プロフェッショナル。「機能ばかりを重要視して消費者がブームに振り回されてしまう」と、近年の風潮を懸念する。