【徹底解説】自動車業界とは?|将来性や注目テーマ、志望動機の書き方、文理別の例文も紹介
自動車業界のビジネスモデル
ここでは、自動車業界の代表的なビジネスモデルについて紹介します。 ■完成車メーカー 一般的に「自動車メーカー」と称されているのが「完成車メーカー」であり、素材メーカーや部品メーカーなどから仕入れた部品を、完成車に組み立てるメーカーのことを指します。 日本の大手自動車メーカーは数社しかありませんが、ここから各種部品を受注する部品メーカーは数千社にも上っており、自動車業界の屋台骨を支えていると言えるでしょう。 財務省発表の「令和5年分貿易統計(速報)の概要」(※1)によると、自動車は、輸出金額における増加品目の中でもトップの伸び率となっています。 輸出台数においては、近年、感染症の流行や半導体不足、さまざまな世界情勢の変化による影響で減少に転じるも、2023年以降は復調傾向にあり、世界トップ3を保ち続けています(※2)。 このように、完成車メーカーを中心とする日本の自動車産業は、世界に誇るグローバル産業でもあるのです。 ※ 出典1:令和5年分貿易統計(速報)の概要│財務省 ※ 出典2:2024年1月11日付 今週の指標 No.1329│内閣府 ■自動車部品メーカー 自動車1台を組み立てるためには、小さなねじも含めて約2~3万点以上の部品が使われるとされています。こうした部品類は、大小の自動車部品メーカーが手がけており、自動車部分品・付属品、内燃機関電装品まで含めると、少なくとも6000社近い企業があります(※)。 部品メーカーには大きく2つの分類があり、自動車メーカーと直接取引で部品を供給している場合は「ティア1(Tier 1)」ティア1メーカーに部品を供給している場合は「ティア2(Tier 2)」と呼ばれます。 ※出典:全国5849社「自動車部品メーカー」業績動向調査 売上は2兆5,000億円減、コロナ禍で落ち込み拡大│東京商工リサーチ かつては、特定の自動車メーカーのみと取引する方式が主流となっていましたが、昨今は、複数の自動車メーカーと取引する部品メーカーも増えています。 また、海外部品メーカーとの競争が激化している昨今は、特定の専門分野においてトータルの提案をすることで、競合優位性を高める動きも出てきています。1つの部品だけでなく、例えば、エンジン周りやエアコン周りの構成に必要な部品群をユニット形式で提供するケースなどがこれに当たります。 さらに、自動運転技術や、カーナビなどに関連するGPSや地図システムなどの開発を手がける部品メーカーなども登場しています。 日本の自動車部品メーカーには、2023年時点で世界第2位の売り上げ規模を誇る企業や、特定領域の部品で世界トップシェアを獲得している企業なども複数あり、高い技術力を持っています。 ■自動車販売会社(カーディーラー) 自動車販売会社(カーディーラー)は、完成車メーカーから完成車を仕入れ、その販売とアフターサービスを手がけています。 完成車を手がける自動車メーカーごとに販売網が整備されており、系列店である自動車販売会社は、基本的に他社の車を取り扱うことはありません。 自動車メーカー内でもブランドごとに販売網が分かれ、特定のブランドの車種のみを扱うケースがほとんどでしたが、昨今では統廃合が進み、取引メーカーのブランドをすべて取り扱い、幅広い提案を行うケースも増えています。 その一方で、一つの高級車ブランドに特化した販売・サービスを手がけ、富裕層の顧客獲得に特化する自動車販売会社も登場しています。 また、特定の自動車メーカーの系列に入ることなく、複数メーカーの車を取り扱う個人ディーラーもあり、こちらは、営業職・整備士などの少人数で構成されていることも多いでしょう。最近は、中古車だけでなく、新車のインターネット販売が台頭しています。 ■そのほかの自動車関連メーカー(素材メーカー・タイヤメーカー) 自動車製造にはさまざまな素材が使われており、車体などに使用する普通鋼、ラジエーター(エンジンを冷却する部品)などに使用する銅、ホイールなどに使用するアルミニウムだけでなく、そのほか、プラスチック、ゴム、ガラス、塗料など多岐にわたります。それぞれの素材を扱うメーカーがあり、より自動車製造に適している材料の開発に尽力しています。 一方、タイヤメーカーは天然ゴムなどの原材料を仕入れ、自動車、バイク、トラック、バスなど、さまざまな車両の種類に応じたタイヤの製造・供給を手がけています。タイヤメーカーでは、自転車や航空機に使用するタイヤなども展開していますが、ビジネスの比重としては自動車関連が多くを占めており、自動車の販売台数に業績を左右されてしまうほど、自動車業界と深くかかわっています。 また、どちらのメーカーにおいても、昨今は電気自動車に対応するために、樹脂による軽量化素材や、タイヤの開発などに注力する傾向も見られます。 ■自動車関連サービス(修理・整備、カー用品、カーシェアリングなど) 自動車業界には、商品販売後に関連サービスを提供する企業も多く、自動車の修理・整備、パンク・故障時のロードサービス、各種カー用品の販売、中古車販売などのサービス事業はアフターマーケットと呼ばれています。 また、自動車を所有せず、必要なときのみ利用できるサービスとして、レンタカー、カーリース、カーシェアリングなどもあります。最近では、大手自動車メーカーもカーシェアリング事業に乗り出しており、自動車利用の新たな選択肢として、今後も伸びていくことが期待されています。