売り方からメンテまで異例ずくめ! 速さでポルシェを唸らせたR35GT-Rもついに終了! 伝説だらけの歴史を振り返ってみた
サーキットの速さと公道の快適さを両立するオールインワンを目指した
ただ、サーキットなどでの絶対的な速さは世界レベルだが、硬派な乗り味やうなるミッションなど、室内環境は快適といい難く、公道で乗ることはある意味苦行であった。2009年はカーボンブレーキを装着し、2シーター化されたスポーツモデルのスペックVも登場するなど小改良は施されたが、デビューしてからの約3年は、市販車として未完成だったといわざるを得なかった。 この部分に大幅なメスが入ったのは2010年に発表された中期型と呼ばれる2011年モデルで、水野氏が「3年後に本当の姿を見せる」と語ったととおり、ショック/スプリングの仕様変更に加え、フロントロアームの変更によりレバー比まで変更。乗り味はかなり洗練された. 2012年にはコーナーウエイトまで整えるため、市販車の常識を覆す左右非対称セッティングを採用するなどシビアなセッティングを施すが、当時は公道からサーキットまで1台でこなすオールインワンでは難しい側面があったのは確かだ。
2014年モデルから「GT性能」と「R性能」を棲みわけして開発
その問題に対して、2013年4月に商品企画責任者に着任した田村宏志氏は快適性の「GT(グランドツーリング)性能」と速さの「R(レーシング)性能」にわけ、前者を基準車、後者をNISMOとし、それぞれの方向で極めていくスタイルへと転換した。 とくにスーパーGTのノウハウが盛り込まれた新たなカーボンを多用したエアロパーツを装着し、よりスポーティなルックスとさらなる高性能を得たNISMOは多くのファンに歓喜をもって受け入れられた。ニュルブルクリンクサーキットのタイムも7分8秒6まで短縮している。 3度目の大きな進化は2016年に登場した2017年モデル。前任者の水野氏は10年目の節目にフルモデルチェンジを予定していたと噂されるが、実際はビッグマイナーチェンジに留まっている。 それでも基本骨格に変更はないが、Aピラー周辺には補強(北米のロールオーバー基準対応)が加えられ、前後の剛性バランスを最適化するとともに、ドア/ルーフ/トランク以外の外装パネルを刷新した。インテリアはダッシュボードからセンターコンソールまでを新設計。高級感あるデザインはフルモデルチェンジ級といって差し支えない。