東京で「871円」で鉄鋼関係のバイトをしています。東京都の「最低賃金以下」ですが、問題ないのでしょうか?
都道府県ごとに設定されている最低賃金よりも、低い金額しか支払われていないとお悩みの方もいるかもしれません。実際、違法なのではないかと疑問を感じている方もいるでしょう。 今回は東京都の最低賃金が1113円にもかかわらず、871円で鉄鋼関係のアルバイトをしているケースで、疑われる違法行為についてご紹介します。
最低賃金には2種類がある
厚生労働省の「最低賃金制度の概要」によると、最低賃金とは国が最低賃金法に基づいて定めた賃金の最低限度額です。したがって使用者は賃金を支払う際、その最低賃金額よりも低く設定してはいけないとされています。 その最低賃金には、地域別最低賃金と特定最低賃金の2種類があります。 地域別最低賃金は各都道府県の最低賃金であり全ての労働者が対象、対して特定最低賃金は、特定の産業で働く基幹的労働者が対象となる最低賃金です。
東京都の最低賃金と東京都における鉄鋼業の最低賃金は?
厚生労働省が公表する地域別最低賃金の全国一覧表を見ると、令和5年10月1日から東京都の最低賃金額は1113円です。 一方で東京都における鉄鋼業の特定最低賃金額は、871円(平成26年3月23日から)となっています。 このように地域別最低賃金と特定最低賃金で、金額が異なる可能性もあるでしょう。もし 地域別最低賃金と特定最低賃金の双方が適用されそれぞれの金額が異なる場合、高い金額のほうが適用されます。 今回の場合では、東京都における鉄鋼業の特定最低賃金よりも東京都の地域別最低賃金のほうが高いため、1113円が支払われるべきだと考えられます。
最低賃金が支払われていない場合は違法となる可能性がある
最低賃金が支払われていない場合、違法と判断されるおそれがあります。最低賃金法の第40条には、以下のように記載されています。 「第四条第一項の規定に違反した者(地域別最低賃金及び船員に適用される特定最低賃金に係るものに限る。)は、五十万円以下の罰金に処する。」 第4条第1項の規定とは、「使用者は、最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならない」と定めている内容です。 使用者には地域別最低賃金と特定最低賃金いずれか高いほうの最低賃金額以上の賃金を支払う義務があり、支払わず違法とみなされた場合は、50万円以下の罰金が科されるおそれがあります。