深見ならではの水中花火

　長野県阿南町の県選択無形民俗文化財「深見の祇園祭り」の奉納煙火が27日、伊那谷唯一の天然湖「深見の池」であった。今年は湖上に浮かべた筏（いかだ）での神事が5年ぶりに復活し、筏の仕掛け花火も披露。池周辺には多くの見物客が訪れ、湖上や湖面を華やかに彩る花火を堪能した。 　深見諏訪社津島社両氏子総代（村松喜代治総代長）と深見壮年会（伊藤翔平会長）が主催。夕方、津島社からご神体をみこしに移し、笛を吹きながら約50人の行列が池まで向かった。到着すると筏に約20人と一緒にみこしを乗せ、湖の上で神事を執り行った。 　今年は筏での仕掛け花火も復活。令和になって初めてで、筏の屋根から落ちるナイアガラを披露した。 　奉納煙火は午後7時半に開始。星が輝く夜空の下、音楽に合わせて次々と花火が打ち上がり、湖上に湖面にと大輪の花を咲かせた。周囲のすり鉢状の地形による大音響は迫力満点で、池の周りで見上げた見物客からは打ち上げのたびに歓声が上がった。 　3カ所から同時に上がるスターマインや、湖面での幅約40メートルのナイアガラなど多彩な花火を披露。深見ならではの「大水中スターマイン」では、水上の半円の花火と水面に写る半円とがきれいな輪となり、見物客らを魅了した。 　壮年会の伊藤会長は「久しぶりに筏での神事と仕掛け花火を無事にできた」と感謝し、「子どもの頃楽しい祭りといえばこの深見の花火だった。人は減っているが、子どもたちのために残しつなげていきたい」と話していた。