青森県内の5路線8区間、全て赤字 JR東、利用者少ない地方路線の2023年度収支公表
JR東日本は29日、利用者が少ない地方路線の2023年度の区間別収支を公表した。青森県関係は奥羽、大湊、五能、津軽、八戸の5路線7区間と、運休中でバスなどの代替交通の収支を計上した津軽線・中小国(外ケ浜町)-三厩(同)の1区間の計8区間全てで、費用が収入を大幅に上回る赤字だった。収支の大きな改善は見られず、沿線人口の減少などを背景とした厳しい経営環境が各路線で続いている。 公表対象は23年度に1キロ当たりの1日平均乗客数(輸送密度)が2千人未満だった区間。青森県関係の7区間は収支が公表されている19年度分以降、5年連続赤字だった。うち、奥羽線・大館(秋田)-弘前、五能線・能代(秋田)-深浦、同・深浦-五所川原の3区間は収支が悪化した。 最も赤字額が大きかったのは22年度と同じく奥羽線・大館-弘前で、25億3300万円(22年度比1億800万円悪化)。五能線・能代-深浦が17億1500万円(同2300万円悪化)、津軽線・青森-中小国が16億8800万円(同8800万円改善)で続いた。 津軽線・中小国-三厩は、22年8月の大雨被害で運休している蟹田-三厩区間に含まれるため、バスなどによる代替交通の収支を計上し、3億6600万円の赤字だった。100円の収入を得るために必要な費用「営業係数」は1万3520円で青森県関係の中で最も高かった。 JR東は、ローカル線の存廃を含めた在り方に関する協議を沿線自治体と進めるため、利用者の減少が顕著な路線の収支を公表。県内では津軽線・蟹田-三厩間の鉄路廃止、バス、タクシー転換の方針で今別、外ケ浜両町、県と合意している。