一青窈さんのチャリティライブ活動が、百年続きますように。「たったひとりのためにでも歌いたい。」
社会の器となるような仕組み作りを
生歌が聴けない環境にある人たちに歌を届けたい。その思いだけで地道に続けてきた活動が、2022年にひとつの節目を迎えた。デビュー20周年のタイミングで「gigi project」を発足。これまで語られることが多くなかった活動が、よりオープンになり、多くの人を巻き込んでいく方向へと動き始めている。 「プロジェクトを立ち上げたからといって、やることが変わるわけではありません。ただ、私がこの世からいなくなった後も、『gigi project』が器として残るような仕組みを作れたらいいなと思っています。自分も誰かのために歌いたい、演奏したいと思っている人はきっと多いはず。そういう人たちがもしも私の活動に賛同してくれるなら、どんどん乗っかってきてほしいです。みんなが参加できるのが音楽の醍醐味ですから。目標はプロジェクトを通じて素敵な仲間と出会い、楽しい時間を共有しながら長く続けていくこと。音楽を欲している人に歌声を届けることで、少しでも世の中が良くなるのであれば、それ以上の幸せはないですね」 3児の母として育児もこなしながら、苦しんでいる誰かを思って30年近くも活動を続けるには、計り知れない努力があったのだろう。両親を早くに亡くし、辛い経験をした過去を持ちながらも、「楽しいから続けてこられた」と明るく語ってくれた一青さんの言葉からは、強さと優しさが伝わってきた。歌で人をよろこばせる。歌手だからこそできる、社会貢献のかたち。広がり始めた輪が、百年後にはたくさんの輪と繋がり、響き合っていることを願う。
歌手 一青窈さん 東京都出身。台湾⼈の⽗と⽇本⼈の⺟の間に⽣まれ、幼少期を台北で過ごす。2002年にシングル「もらい泣き」でデビュー。翌年、同曲で⽇本レコード⼤賞最優秀新⼈賞、⽇本有線⼤賞最優秀新⼈賞などを受賞、NHK紅⽩歌合戦初出場。2004年に「ハナミズキ」が⼤ヒットを記録。2022年にデビュー20周年を迎え、オリジナルアルバム「⼀⻘尽図」を発売。俳優としても活躍する⼀⽅、詩集や絵本の執筆、他アーティストへの歌詞提供など、活動の幅を広げている。
一青窈 最新曲「ただやるだけさ」
2024年3月22日公開映画「猫と私と、もう1人のネコ」の主題歌。⼀⻘さんの作詞による、前を向いて⼈⽣を歩む⼤切さを伝える応援歌。作編曲は台湾のシンガーソングライターで、アジアでも絶⼤な⼈気を誇るクラウド・ルー(盧廣仲)。 各主要ダウンロード配信サイトおよび定額制⾳楽聞き放題(サブスクリプション)サイトにて配信中。 photography: Kaho Yanagi styling: Demi Demu hair&makeup: Hirokazu Niwa〈maroonbrand〉 interview&text: Eimi Hayashi