「平成の花咲かじいさん」が庭に植えたフジ 今や「紫の雲海」に育つ
熊野街道沿いの旧宿場町、大阪府泉南市信達牧野のフジが見ごろを迎えている。元小学校長が自宅庭に植えた1本。有志が受け継いで、毎年ふじまつりを開いている。まつりは24日まで。 【写真】今年もたくさんの花房をつけた梶本家のフジ=2024年4月18日、大阪府泉南市信達牧野、田中章博撮影 フジは幅30メートル、奥行き27メートル。垂れ下がった約4万の花房が春風に揺れ、甘くさわやかな香りが漂う。 植えたのは、故梶本昌弘さん。約40年前に鉢植えを庭の片隅に植え、子どものように大切に育てたという。 「1本の木からこんなにたくさんの花をつける。君たちも成長して、ひと花じゃなく、たくさん花を咲かせられる」。小学校長だった梶本さんは子どもたちにそんな話をしていたという。 「平成の花咲かじいさん」と呼ばれた梶本さんは2008年12月に亡くなり、地元有志の保存会が日ごろの手入れを続ける。例年、約3万人が訪れる地域の催しとなっている。 独自に育て、うねっているため「藤棚としては亜流と言われる」と長男の和宏さん(68)。そのうねりは、観賞台に上がって眺めると紫の雲海のように楽しめる。 問い合わせは保存会(090・4281・8741)へ。(田中章博)
朝日新聞社