【2024ふくしま衆院選 託す思い】子育て支援 教育費負担減らして 保育環境充実早く
衆院選で各党は幅広い子育て支援策を公約に掲げている。児童手当の拡充や中高等教育にかかる負担減など、子育て世帯を直接支える施策の他、保育施設や事業者向けの対応もある。産み育てやすい社会の実現に向け、関係する県民は国による手厚い後押しを求めている。 郡山市の自営業小竹智美さん(40)は中学2年の長男が高校受験に向け、夏休み前から塾に通い出した。部活動に関する出費に受講料が重なり、一つ下の長女も控える。少しでも割安な店で買い物をするなど節約に努めている。「家計に余裕はないが、子どもには好きなことをさせてあげたい」と親心を明かす。 育児や教育にかかる経済的な不安から、第3子を諦めた。高校の無償化や奨学金制度の拡充など各党の政策はありがたいが、受験料の補助などもお願いしたい。「出産はスタート。そこから子育ては20年続く」と成長に応じたきめ細やかなサポートを望む。 棚倉町の主婦菊池望さん(44)は、小学1年と2歳の娘2人を育てている。進学や習い事など、成長に伴い膨らむ出費を工面するため次女が幼稚園に入れば働きに出るつもりだ。所得税が課税される年収「103万円の壁」の解消を求めている。「世帯収入が増えれば将来設計をしやすく、子どもをより産みたいと思える」と不安なく、子育てができる未来を展望した。
◇ ◇ 共働き世帯や核家族の増加など家族構成の変化を受け、保育の受け皿となる保育現場の充実も急がれる。保育人材の処遇改善や男性の育児休業(育休)取得率引き上げをうたう政党もある。 石川町の小規模保育施設「いしかわツリートップ保育園」は0~2歳児の14人を受け入れている。2021(令和3)年8月の開園後すぐに定員に達した。園長の水野梢さん(43)は保育需要の高さを感じつつも「安心してわが子を預けてもらえるよう、保育の質を確保したい」と保育士の賃上げや業務負担の軽減につながる支援を訴える。 国は就労の有無によらず保育を利用できる「こども誰でも通園制度」の導入を目指している。ただ、保育士は他業種と比べても人材不足が慢性化している。全国の市区町村を対象とした民間団体の調査では「保育士確保などの体制整備が間に合わない」との回答が74%に上った。水野さんの園では保育士7人が働くが、将来も働き手を確保するためには処遇改善が必要だ。「次世代の安全・安心のため、保育士をより魅力的な職業にする方策を考えてほしい」と求めた。
◇ ◇ 子育て環境の充実は働き方改革を進める企業の願いでもある。喜多方市のラーメン製造販売業「河京」は1歳未満の子どものいる従業員向けに育休制度を設けており、3年間で4人が利用した。一方、保育所に子どもを預ける社員からは「勤務時間を短くしたい」との要望もある。育児を理由とする離職者も出た。 社長の佐藤健太郎さん(32)は「働きたいけど働けない人に、企業ができることには限界がある」と苦慮する。子育て中も働ける社会づくりに向け、育休者の補充のため派遣社員などを雇う際の補助制度や、中小企業・地域への託児施設の整備促進を提言する。