【海外トピックス】様変わりしたジュネーブ国際モーターショー。名門の復活は果たしてあるのか
ルノー5のパプリックデビュー。価格は25,000ユーロ前後から
ルノーは、昨年11月のアンペア社の設立発表時にお披露目したルノー5(EV)のパブリックデビューが話題の中心でした。全長3.92m、全幅1.77mのBセグメントサイズのボディに40kWhと52kWhの2種類のサイズのバッテリーを用意し、300~400kmの航続距離を確保。内装では10インチのセンターディスプレイと音声コマンドを装備した最新のインフォテイメントが用意されます。すでに発売されているシトロエンe-C3などと共にこのクラスのEVを牽引していくことが期待されます。 ルノーは、EV専業として本体から分離独立したアンペア社の株式上場を延期しましたが、今後もルノー4やトウインゴEVを2026年までに発売する予定で、EV化のペースに変化はないようです。デメオ会長はメディアとの質疑で、EV販売の減速に伴い一部で懐疑論が出始めているCO2排出規制について、「ACEAとして2035年の内燃エンジン車の禁止に注文をつけるつもりはない」と発言しています。 昨年65万8000台(+14.7%)を販売して存在感を増しているダチアブランドも、コンパクトSUVのダチア・ダスターと、市場で最も安価なEVであるダチア・スプリングの新型をお披露目しました。ダチア・スプリングは中国製で昨年12月からフランス政府の補助金の対象外になりましたが、昨年欧州で6万台を販売しており、EV小売販売(企業向けフリート除く)では第3位とのことです。2万ユーロ以下で買えるEVとしてしばらくは人気が続くでしょう。
MG3と上級ブランドIMモーターの新型車を披露した上海汽車
昨年欧州での販売を23万台と倍増させ、英国を中心に存在感を増しているMGモーターは、スモールハッチバックモデルのMG3の新型を発表しました。目玉は初のハイブリッドモデル(Hybrid+)で、1.5リッターのガソリンエンジンに100kWの強力なモーターを搭載して、トヨタ・ヤリスやルノー・クリオなどのHEVのライバル車を凌ぐ加速性能(0→100km/h加速8.0秒)を誇ります。2万ユーロを切る価格はライバルより1割安く、特にMGブランドのお膝元の英国では、販売が終了したBセグメントの王者フォード「フィエスタ」の市場を継承して旧モデルの3倍の販売を目指していると英自動車誌Autocarは報じています。 MGのトップセラーであるCセグメントSUVのMG ZSや、昨年欧州で7万2000台を販売した人気EVのMG4に加えて、EVスポーツカーの「サイバースター」の導入も控えており、製品ラインアップを強化するMGは中国車ブランドのリーダーとしての地位を固めそうです。 また上海汽車(SAIC)の上級ブランドであるIM(※1)モーターも、ミッドサイズセダンEVの「L6」をお披露目して2025年の発売に向けて欧州デビューを飾りました。アウディがこのIMモーターの技術を活用して中国向け製品を開発するとされており、0→100km/hの加速3秒、航続距離は最大800kmの高性能と最先端の自動運転技術を誇るとされるモデルです。※1:Intelligent Mobilityの略 昨年欧州で1万5000台を販売したBYDは、昨秋のIAAモビリティでもミッドサイズの「シール」やプレミアムブランド「デンツァ(騰勢)」のミニバン「D9」を発表して話題を呼びましたが、今回は、ジャパンモビリティショーでも展示された高級車ブランド「仰望(ヤンワン)」のスーパーSUV「U8」や、「シール」のプラグインハイブリッド車を披露しました。昨年300万台を販売し、第4四半期にはEVの販売台数でもテスラを抜いたBYDは、昨年末にハンガリーに欧州生産工場を建設することを発表しており、同社の攻勢は今年も続きます。