曙さん「明るく送り出してほしい」遺言守りハワイ式で葬儀 小錦アロハで参列「歴史に残る力士」
大相撲の元横綱・曙で、4月上旬に心不全のため54歳で死去した曙太郎さんの葬儀が14日、東京都内の斎場で営まれ、生前に曙さんとゆかりのあった約300人が弔問に訪れた。初土俵が同期の花田虎上さん(53、元横綱・3代目若乃花)、師匠だった元関脇・高見山の渡辺大五郎さん(79)や元大関のタレント・小錦八十吉(60)ら同じ米ハワイ出身者が参列。葬儀は曙さんの遺言で、ダンスや歌が奏でられるなどハワイ式で執り行われた。 曙さんが愛したハワイにいるような明るい別れだった。「明るく送り出してほしい」という遺言でハワイ式の葬儀。民族衣装のような黄色いドレスをまとった女性ダンサーが踊り、ギターやウクレレの生演奏に合わせてハワイの歌が流れる中、献花方式で行われた。 祭壇中央の遺影の中で、浴衣姿にまげを結い笑顔の曙さんが約300人の参列者を迎えた。遺影の両脇に11度の優勝で、10度目の2000年名古屋場所と最後の同年九州場所の優勝額のレプリカが掲げられ、ひつぎはハワイ州の州旗がかけられた。ハワイの葬儀は、故人の新たな旅立ちのお祝いも意味し、葬儀関係者は「日本のお通夜とハワイ式を合体したような形になった」と説明した。クリスティーン麗子夫人(52)は頭に花飾り「ハクレイ」、首には花飾りの「レイ」をかけ、参列者にあいさつした。 大相撲「花のロクサン組」で、現役時代に横綱・若乃花としてしのぎを削った花田さんは、妻・倉実(くみ)さんと娘と参列。「(訃報を)聞いた時は頭が真っ白になった。くだらない話をして酒を飲みたかった。かなわないのがつらい。ずっとつらい状態だったけれど、やっと解放されたんじゃないかな。ゆっくりしてほしい」と、ともに一時代を築いたライバルとの別れを惜しんだ。 師匠の元関脇・高見山の渡辺さんは、つえをついて弔問し「まだ若く残念。11回の優勝のうち、最初の優勝を一番覚えている。ごくろうさんと伝えたい」。ハワイ出身力士の先輩、小錦はアロハシャツ姿で参列し、「普通の付き合いじゃなかったから、一言じゃ終わらない。外国人が相撲界で活躍するのが当たり前の時代になったけど、歴史に残る力士だった」と涙ぐんだ。 約7年の闘病の末、力尽きた曙さん。参列者は故人への思いをはせ、別れを悲しんだ。(山田 豊) ◆主な参列者 渡辺大五郎(元関脇・高見山)、小錦八十吉(元大関・小錦)、花田虎上(元横綱・若乃花)、武蔵川親方(元横綱・武蔵丸)、琴ノ若(大関)、佐渡ケ嶽親方(元関脇・琴ノ若)、浅香山親方(元大関・魁皇)、東関親方(元小結・高見盛)、谷川貞治(元K―1プロデューサー)、山田邦子(タレント)、浜亮太(プロレスラー)。=敬称略=
報知新聞社