中国が米国に警告-超党派の議員団、ダライ・ラマと面談へ
(ブルームバーグ): 中国は18日、チベット亡命政府があるインド北部ダラムサラでチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世との面談を予定している米議員団に対し、チベット側と話し合いをしないよう警告した。
中国外務省の林剣報道官は定例記者会見で、中国政府は米議員団のインド訪問に「強い懸念」を抱いており、ダライ・ラマとその支持者らの「反中国かつ分離主義的な性質を明確に認識」するよう米国に求めていると述べた。
米下院外交委員会のマコール委員長率いる超党派の議員団は同日、ダラムサラに到着する見込み。ペロシ元下院議長も同行している。米議員団とダライ・ラマとの面談は19日の予定。
米議会はダライ・ラマや他の指導者たちとの協議に再び参加するよう中国に促す法案を数日前に可決したばかりで、バイデン米大統領は法案に署名する予定。中国とダライ・ラマ側は2010年に話し合いが決裂。それまでは長年にわたり対話を続けていた。
林報道官は米法案の署名を中国政府は望んでいないとし、「中国は主権と安全、発展の権益をしっかりと守るため断固とした措置を講じる」と表明した。
チベット亡命政府の当局者は、米国の議員団訪問と法案は中国に圧力を加えることになると指摘した。
88歳のダライ・ラマは17日、自身の後継者問題についてはまだ考えていないとダラムサラで記者団に説明し、「重要なことは、私が生きている限り、できる限り多くの人々を助けるため全精力を使うべきだということだ」と語った。チベット仏教は転生(生まれ変わり)によって高僧の地位が継承されるとしている。
ダライ・ラマの後継者問題を巡っては、そのプロセスに干渉しないよう中国政府に警告している米国などの国々と中国が対立。チベット仏教徒は、ダライ・ラマの死後に複数の後継者が現れる可能性を含め、激動の時代に備えている。
中国がチベットを1950年代に併合すると、ダライ・ラマは他の僧侶らと共にインドに逃れた。中国はチベット統制を強化し続けており、ダライ・ラマを分離主義者と見なしている。