ビットコインマイナーの時価総額が400億ドルに迫る──マイニング難易度は5回連続の上昇へ
ファーサイド(Farside)のデータによると、上場しているビットコインマイナーの時価総額の合計が400億ドル(約6兆円、1ドル150円換算)の節目に迫っている。ビットコイン(BTC)価格が何度も史上最高値を更新し、初めて6桁に近づく中、時価総額は7カ月で倍増している。 マイナーにとって最大の課題は収益だ。ビットコインブロックチェーンでブロックの確認作業を行うことで得られる報酬は、4月に50%削減された。この時期の時価総額合計は約200億ドル(約3兆円)だった。現在のエポックでは、1日にマイニングされるビットコインはわずか450BTCで、マイナーに支払われる手数料はこのサイクルでの最低水準にとどまっている。グラスノード(Glassnode)のデータによると、27日の手数料は10BTC(94万6000ドル、約1億4190万円)のみだった。 つまり、マイナーは収益源を多様化するか、現在約9万6000ドル(約1440万円)の現物価格よりも安いコストでビットコインを生産する必要がある。 これが課題であり、さらに困難になろうとしている。ブロックチェーンのブロック生成の難しさを測るマイニング難易度は、今後数日のある時点でさらに3%上昇すると予想されている。 難易度は既に1兆を大きく上回っており、2016ブロックごと、つまりおよそ2週間ごとに自動的に調整される。難易度が高いほど、マイナーが新しいブロックを生成するのは難しく、よりコストがかかる。 問題の核心は、急上昇しているハッシュレートにある。ハッシュレートは1カ月以上にわたり700EH/s(エクサハッシュ毎秒)を上回っている。ハッシュレートは、ビットコインのようなコンセンサスアルゴリズムがプルーフ・オブ・ワーク(PoW)のブロックチェーンでマイニングとトランザクション(取引)処理に必要な計算能力だ。 グラスノードのデータによると、7日間の移動平均で見たハッシュレートは現在726EH/sで、今年半ば以降、高値更新と安値切り下げを続けている。 2024年に多くのマイナーは、AI(人工知能)やHPC(ハイパフォーマンス・コンピューティング)産業に進出することで収益源を多様化させた。これらの産業では、必要な計算能力をホストできる場所への需要が急増している。 その一例がIRENだ。同社の株価は27日にAIへの関心が改めて高まったことを受けて30%急騰した。 マラソン・デジタル・ホールディングス(Marathon Digital Holdings)のような他の企業は、保有するビットコインを活用し、貸借対照表上のビットコイン保有量を増やしている。27日時点で、同社は利息0%の10億ドル(約1500億円)の転換社債を売却して資金を調達し、さらに703BTCを追加した。同社は現在、合計3万4794BTCを保有している。 コインシェアーズ・ヴァルキリー・ビットコイン・マイナーズETFは、上場しているマイナーの代理指標だ。その価格は年初来60%上昇しているが、ビットコインの113%上昇のパフォーマンスを下回っている。 |翻訳・編集:林理南|画像:Shutterstock|原文:Bitcoin Miners Approach $40B Market Cap as Difficulty Set for Fifth Straight Increase
CoinDesk Japan 編集部