「数字=受け入れられる人数ではない」 グループホーム運営「恵」からの受け入れ可能人数判明も専門家指摘
テレビ愛知
障害者向けのグループホームを運営する福祉事業会社「恵」が行政処分を受けた問題。いま心配されているのが「障害の程度が重い人」の受け入れ先についてです。 福祉事業会社「恵」が運営する障害者向けのグループホームの1つに、名古屋市の職員や障害者の支援員が次々と入っていきました。「恵」のグループホームを巡っては愛知県の監査により、相次いで「不正」が発覚しています。
不正1:食材費の過大徴収
グループホームの事業者は、食事の材料費のみを利用者から徴収できます。しかし関係者によりますと、一部の施設では材料費が9000円程度だったにもかかわらず、利用者から2万5000円程度を徴収していました。県は、過大徴収の総額は県内26施設だけでも約2億1800万円に上ると発表しました。
不正2:障害福祉サービス等報酬の不正受給
「恵」は職員の数を水増しして自治体に報告し、サービスの対価として受け取る報酬あわせて4億円あまりを不正に受給していました。 不正発覚後、利用者家族のもとに届いたのは… (施設利用者の家族に届いた書類) 「指定が取り消され、当社による運営が継続できなくなります」
大村知事: 「利用者の信頼を裏切った。憤りを感じる」 愛知県と名古屋市は6月、県内5カ所の施設について事業所の指定を取り消す行政処分を行いました。早いところで8月末から、事実上、施設の運営ができなくなるほか、全国約100の施設も順次運営ができなくなる見通しで、県内では433人の利用者の受け入れ先の確保が課題となっています。
「数字イコール受け入れられる人数ではない」
そんな中、県の調査の結果、県内で障害者向けのグループホームを運営する284の事業者で、合わせて924人の受け入れが可能なことがわかりました。受け入れ先確保に向け支援が進むものの、問題も。 名北福祉会 佐藤準子さん: 「900を超える数字は出てるけど、数字分イコール(受け入れられる)ではない」 名北福祉会は「この町北ホームゆうやけ」を含め、名古屋市内5カ所で障害者向けのグループホームを運営しています。「恵」の施設との共通点は、必要な支援の度合いが高い「重度の障害」がある利用者が多いことです。 佐藤さん: 「障害が重いということは、必要としている丁寧な支援が必要。多動な人とか、本人にそのつもりがなくても、コントロールできなくて他害、自傷といった特性を持った人を受け入れるときに、空間の広さ、逃げ場がある場が必要。職員の質の向上も課題。(受け入れ)可能ですと言っているところは、そういったことが整わないと、実際に受け入れるのは難しいと思う」
「恵」は市に対し、事業を別会社に譲渡する方針を伝えていて、譲渡が成立すれば利用者は転居をせずに同じ施設に通うことができる可能性もあります。しかし現時点で具体的な譲渡先やスケジュールは決定していません。 市内の施設の利用者はテレビ愛知の取材に対し、「施設から何も聞いていないため対応ができず困っている」と話しています。
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