羽田空港「観光客2000万人」実現を支える秘策とは?
今年の訪日外国人観光客が史上最多になる見込みです。2020年には東京五輪が予定され、今後も訪日外国人観光客の増加は確実視されています。訪日外国人観光客の増加は、日本経済にも外需拡大という恩恵をもたらしていますが、宿泊施設の不足といった問題にも直面しています。そして、首都圏の航空需要の増加への対応にも迫られています。 【写真】東京五輪に向けた「民泊」なぜ大田区で条例化?
2010年「D滑走路」完成で欧米路線も開設
日本政府観光局が発表した訪日外国人観光客数は、2015年1月~8月までで1280万人超に達しています。これは史上最高の数字で、政府は東京オリンピックが開催される2020年までに訪日外国人観光客数を2000万人まで引き上げようと意気込んでいます。 訪日外国人観光客は政府の目標を上回るスピードで急増していますが、観光業界では宿泊施設が不足していることが問題視されています。きちんとした宿泊施設が提供できなければ海外からの観光客が来なくなってしまう可能性もあります。そうしたことから、既存の民家を特例的に認める「民泊」が検討されています。その民泊を条例化しようと、真っ先に動いたのが東京・大田区です。大田区が民泊を検討する理由は、区内に羽田空港を抱えているからです。 羽田空港は東京の玄関口でもありますが、これまで国際線は成田、国内線は羽田という棲み分けがなされていました。つまり、羽田空港を発着する飛行機の大半は国内線だったのです。 そうなると、訪日外国人観光客の急増は大田区には影響がないようにも思えます。ところが、2010年にD滑走路の完成したことで羽田空港は中国やシンガポールといったアジアだけではなく、アメリカやフランスといった欧米路線も開設されたのです。これにより、羽田空港を利用する外国人観光客も増加しているのです。 「羽田は都心から約15キロメートルとアクセスもよく、東京と地方、そして東京と世界をつなぐ役割を果たしています。さらに国際線の需要も年を追うごとに高まっており、もはや東京のみならず日本にとってもなくてはならない国際空港といえます」(東京都都市整備局航空政策担当課)