仙台育英、喜びの春 目指すは日本一 3年ぶり13回目 /宮城
<センバツ高校野球> 甲子園から「日本一」を東北へ――。第92回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催、朝日新聞社後援、阪神甲子園球場特別協力)の出場校を決める選考委員会が24日、毎日新聞大阪本社で開かれ、県内から仙台育英の3年ぶり13回目の出場が決まった。春夏通算では41回目の甲子園。選手たちは吉報に笑顔を見せ、東北初の紫紺の優勝旗を持ち帰る決意を新たにした。組み合わせ抽選会は3月13日。大会は同19日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開幕する。【滝沢一誠、山田研、百武信幸、遠藤大志】 午後3時7分ごろ、多賀城市の同校多賀城校舎のグローリーホールに詰めかけた報道陣が見守る中、大林茂副校長(66)の前に置かれた電話のベルが鳴った。「はい、ありがたくお受けいたします。ありがとうございます」。大林副校長は大会選考委員会からのセンバツ出場決定の報告に力強く答えた。 「野球部の持ち味を発揮して、応援する方々に勇気と感動を届けられるよう、しっかり戦ってきてください。期待しています」。大林副校長は野球部の練習場「真勝園(しんしょうえん)グラウンド」に移動し、ユニホーム姿で集まった部員を前に語りかけた。選手たちは「ありがとうございます」と一礼。保護者も駆けつける中、「よっしゃ!」と歓声を上げながら冬空に向かって帽子を投げたり、「日本一を目指すぞ!」とガッツポーズを見せたりした。 チームは2019年秋季大会を、強打を誇る打線と多彩な投手陣の継投で勝ち上がった。県内外の強豪校を破り、東北地区大会で優勝した実力が評価され、センバツ出場につながった。 喜びに沸く一方、チームは既に2カ月後の大会を見据えている。選手たちは取材が終わるとすぐに気持ちを切り替え、練習へと向かっていった。須江航監督(36)は「部員72人全員に(レギュラーの)扉は開かれている」と公言。背番号争いも激しくなる一方だ。 亀田頼風(らいせ)捕手(2年)は秋季大会に背番号20でメンバー入りしたものの、11月の明治神宮大会はメンバー外。「捕手全員で高め合っている。甲子園に出場できるレベルまで、この冬の期間で成長したい」と意気込む。 田中祥都(しょうと)主将(2年)は「センバツまで全員で競争する期間があるので、それぞれの持ち味を引き出し、甲子園で展開したい試合を準備したい」と話す。目標を尋ねられると「もちろん日本一」と言い切った。 須江監督は「優勝を狙える位置にはいるが、今大会は8~12校に優勝のチャンスがある」と、センバツの展望を語る。「横綱はいない。僕たちは小結くらい」。本命不在の大会を制するため、「本番にのびのび試合できるよう、準備をしっかりしたい」と、この2カ月間でチームをさらに強化する決意を示した。 ◇存分に躍動を 仙台市長コメント 仙台市の郡和子市長は「3年ぶり13回目の出場、誠におめでとうございます。一足早い、うれしい春の便りに心躍る思いがしています。東北の代表を勝ち取った自信と誇りを胸に、先輩から受け継いだ伝統の力と、冬の間の厳しい練習で培った成果を余すことなく発揮し、晴れの舞台である甲子園球場でチーム一体となり、存分に躍動されることを大いに期待しています。選手の皆さんの活躍を信じて、市民とともに心からエールを送りたいと思います」とのコメントを発表した。【吉田勝】 ……………………………………………………………………………………………………… ◇仙台育英のセンバツ成績 1968年 1回戦 ○ 9―8 興国(大阪) 2回戦 ● 3―7 平安(京都) 75年 1回戦 ○ 7―4 近大付(大阪) 2回戦 ● 3―4 静岡商(静岡) 89年 1回戦 ○ 3―2 小松島西(徳島) 2回戦 ○ 2―1 尼崎北(兵庫) 準々決勝 ● 2―5 上宮(大阪) 91年 1回戦 ● 0―10 大阪桐蔭(大阪) 92年 1回戦 ○ 18―11 読谷(沖縄) 2回戦 ● 1―3 PL学園(大阪) 95年 1回戦 ● 3―4 神港学園(兵庫) 98年 1回戦 ● 3―4 日本航空(山梨) 2001年 2回戦 ○ 4―3 海星(長崎) 3回戦 ○ 3―1 藤代(茨城) 準々決勝 ○ 9―1 市川(山梨) 準決勝 ○ 7―1 宜野座(沖縄) 決勝 ● 6―7 常総学院(茨城) 07年 1回戦 ● 1―2 常葉菊川(静岡) 13年 2回戦 ○ 7―2 創成館(長崎) 3回戦 ○ 4―1 早稲田実(東京) 準々決勝 ● 0―2 高知(高知) 15年 1回戦 ○ 12―0 神村学園(鹿児島) 2回戦 ● 1―2 敦賀気比(福井) 17年 1回戦 ● 4―6 福井工大福井(福井)