ゼロゼロ融資不良債権2兆円 予備軍1兆円、国民負担に 会計検査院
コロナ下で中小企業向けに導入された実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」で、政府系金融機関や民間銀行が実施したうちの2兆円超が回収不能または回収困難な不良債権になっていた。会計検査院の調べで分かった。返済猶予になるなど不良債権の「予備軍」も約1.1兆円あった。 損失の穴埋めは国民負担になるが、中小企業は物価高などで引き続き苦境にあり、損失は拡大する恐れがあるという。 検査院は2023年度末時点で、政府系金融機関の日本政策金融公庫(日本公庫)と商工組合中央金庫(商工中金)の貸し付けや、民間銀行の貸し付けを保証した信用保証協会について調べた。 日本公庫と商工中金の貸し付けは計約20兆円で、貸付残高は12兆4014億円(約96万件)。うち回収不能や処理中なのは3668億円で、回収が困難な「リスク管理債権」が1兆1965億円。不良債権は1兆5633億円だった。貸付残高の約1割にあたる。検査院が22年度末時点で調査した際は不良債権は約1兆円で、1年で約5千億円増えた。国は日本公庫や商工中金などに財政援助を実施し、貸し付けや金利負担にも国費が使われている。 民間銀行のゼロゼロ融資についても、国は信用保証協会を通じて保証している。コロナ関連保証は総額38兆円(202万件)で、23年度末の残高は19兆円(135万件)。うち企業の破綻(はたん)などで返済できずに協会が代位弁済(肩代わり)したのが4848億円(3.5万件)あり、これは不良債権に相当する。また1兆1888億円(6.9万件)で「元金返済の猶予」など返済条件が緩和されており、不良債権の予備軍となっている。
朝日新聞社