夏の甲子園 低反発バットで野球が変わった ブレークスルーを果たした指揮官たちの挑戦
攻撃面では低く強い打球を打つスタイル。確実性の高いバントと、成功率の高いエンドランでチャンスをものにした。 「自分たちがやる最大限のことをしようといつも言っていて、ランナーをたくさん出しても得点を与えないというのが目指すところ。準備できる限り準備はします。『あれをやっておけばよかった』なんて絶対に思いたくない。明徳さんには2回挑戦してはね返されての3回目ですし、こういう形で勝ち切れたというのは、野球部にとっても、学校にとっても大きな財産になったと思います」 関東一の戦いを見て感じたことは、 "守備力"がいかに重要であるかだ。二遊間を中心に鉄壁のディフェンスで、簡単に得点を許さない。低反発バットが導入された影響もあるだろう。 【戦況を読みながら戦う】 そして今大会は、報徳学園(兵庫)をはじめ、大阪桐蔭、花咲徳栄(埼玉)などの優勝候補が序盤で敗退。その一方で、ベスト8に進出した大社(島根)、ともに1勝ずつを挙げた石橋(群馬)や掛川西(静岡)といった公立勢の奮闘が目立った。 快進撃の理由について、地元出身の選手がほとんどでまとまりがあるとよく語られているが、実際はそうではない。低反発バットの影響で野球が変わり、1点の重みが変わってきた。そのなかでどういう戦いができるかが重要になる。 高校野球にミスはつきものだが、攻守においてどれだけ少なくできるか。またひとつの走塁によって大きく戦況が変わることもある。以前に比べて、失点をどう計算するかなどのゲームプランも必要になり、それをうまくできたチームが優位に試合を進めている。 「投手を中心にしっかり守って、苦しい時には粘ってワンチャンス、ツーチャンスを狙う。初戦はそうした戦いができ、こういった野球をすれば形になると自信になりました」 21世紀枠での初出場(2023年センバツ大会)から1年で、夏の甲子園出場を果たした石橋の福田博之監督はそう振り返る。 初戦(2回戦)で聖和学園(宮城)に5対0と完勝。エース兼4番の入江祥太の獅子奮迅の活躍が大きかったが、少ないチャンスを確実にものにして、全員で守り抜く野球で甲子園初勝利を飾った。