トラッカーカスタムの神バイク!! ホンダ「FTR250」は本物志向のドリフトバイクだった
土煙が似合う! フラットトラックのレーサーレプリカ
ホンダ「FTR250」は、1986年に発売されたニュータイプのオン/オフバイクです。生産終了後、2000年頃に流行したトラッカーカスタムの人気モデル「FTR」(2000年発売)が、そのイメージを継承しています。 【画像】超カッコイイぞ! ホンダ「FTR250」の画像を見る(11枚)
1984年に、アメリカで人気のフラットトラックレースでHRC(ホンダ)の「RS750D」がチャンピオンを獲得したこともあり、そのバイク作りのノウハウを注ぎ込んで開発されました(実際にはHRC製のシングルエンジン「RS600D」のスケールダウン的レプリカ)。 フラットトラックレースは、土を固く敷きつめた、左回りのシンプルなオーバルコースで行なわれます。最大出力よりも、扱いやすい強力なトルク特性のエンジンや、軽くてしなやかな車体が要求されます。 この競技が注目されたのは当時、世界GPで活躍するアメリカ人ライダー達がこぞってフラットトラックの経験者だったからです。 「ならば日本でもこのブームを」と計画は盛り上がりますが、全国にできるはずのコースよりも先に「FTR250」が発売となりました。 当時の競技志向のライダーは、すでにロードレースやモトクロスに傾倒しており、フラットトラックレースは一部の愛好家が楽しむ比較的小さなブームとなりました。
前述の通り、生産終了後のカスタムブームで注目を集め再浮上しますが、そのカスタムシーンの中で「FTR250」が、いわゆる「神バイク」となった理由は、フラットトラックレースに出場できるレベルの高い完成度を持つ「本物」だったからでしょう。 エンジンは人気のオフロード車である「XLR250R」(1985年発売)の4ストロークSOHC単気筒をベースに、シリンダーヘッドはRFVC(放射状4バルブ方式燃焼室)システムを採用していました。 キャブレターは低・中速域での鋭いレスポンスに優れる、吸入効率の良いフラットバルブPJ型を採用しています。 エキゾーストパイプの集合部間の短縮や、新設計のDC-CDIユニット、6速ミッションなどと相まって、ストレートの加速やコーナーでの立ち上がりで俊敏な走りを発揮しました。 フレームは他の250ccモデルとは異なるダブルクレードルタイプで、低重心とショートホイールベース、キャスター角24度と、フラットトラックのために用意されたものでした。