美容業界における M&A 、2024年の展望。2023年の低迷から再開はいつ?
2020年と2021年のM&A(合併および買収)、VC(ベンチャーキャピタル)やPE(プライベートエクイティ)の投資ブームの後、2023年は明らかに低迷していた。 キャップストーン・パートナーズ(Capstone Partners)の9月のデータによると、美容分野のM&A活動は1月から9月のあいだに前年比23.5%減となり、発表された取引または完了した取引は39件にとどまった。M&A対象としてもっとも高い割合となったのがスキンケア部門で、これまでの取引の46.2%を占めている。業界専門家によると、取引の流れが鈍化した主な要因は、金利上昇、インフレの持続、景気後退の懸念、売り手と買い手の評価格差である。
M&AやIPOに関する高いリスク環境
2022年3月以降、米連邦準備制度理事会(FRB)は指標金利を11回引き上げ、過去22年間で最高水準に押し上げた。その結果、金融市場は持続的な高金利環境に直面し、特にプライベートエクイティ分野では、そうでなければ進行していたであろう特定の取引の借入コストが法外に高くなった。2022年から2023年にかけてはインフレが懸念されていたが、FRBは利上げによって公式な景気後退を回避し、2023年6月までにインフレ率は3%に緩和された。FRBは、経済成長にとって健全と判断される2%のインフレを目指している。こうしたマクロ経済上の懸念に加え、米国の労働者の給与が伸び悩んでいることも相まって、景気後退の懸念が消費者の信頼を損ない、経済活動および消費活動が低迷するという自己実現的な予言を生み出している。また、売り手と買い手が評価額の購入価格について合意できないため、多くの企業はM&AやIPOの前に経済環境が改善するのを待っている。 ジェフリーズ(Jefferies)のビューティ&ウェルネス・インベストメントバンキング担当マネージングディレクター、サーシャ・ラディック氏は、「(ステークホルダーは)一般的にマクロ経済環境に懸念を抱いている」と述べた。「中国のような国際市場ではプレッシャーが見られ、戦略的パフォーマンスや地理的拡大を通じて短期的成長を促進するブランドの力に影響を与えている。 インフレ圧力と資金調達の課題もみられる。そのすべてが取引実行に関する高いリスク環境を作り出している」 。